HOME > 法律コラム > 100万円をクレジットカード納税した場合にかかる手数料は◯◯◯◯円!
平成29年から、クレジットカードによる国税の納税ができるようになりました。対象となる税目は、所得税や贈与税など個人に関する税金だけではなく、法人税など会社の税金についても納付できます。
クレジットカード納税については、夜間休日問わず、24時間納税できるというメリットや、クレジットカード会社の会員規約によっては、カードに係るポイントも付与されますので、利用を考えたい制度です。その概要ですが、以下の通りとされています。
(1) 納付は金融機関や税務署では対応できず、国税クレジットカードお支払サイトを経由する、インターネットを通した納税になること
(2) 上限金額は1千万円とカード限度額のいずれか少ない金額であること
(3) クレジット会社によっては、納税額について、分割払いが認められる場合があること
(4) 領収証書は発行されないため、領収証書が必要になる場合には、金融機関又は税務署の窓口において、現金で納税する必要があること
(5) 妻の税金など、家族などの税金を納税することもできること
クレジットカード納税において、最も問題になるのは、決済手数料が発生するということです。この決済手数料は、納付税額が最初の1万円までは76円(消費税別)、以後1万円を超えるごとに76円(消費税別)を加算した金額とされています。
このため、例えば上限100万円納税するのであれば、
{76円+76円 ✕ (100―1))} ✕ 1.08=8208円
の決済手数料が発生することになります。クレジットカードのポイントとの兼ね合いになりますが、コストとしてはかなり大きいと思われます。
このコストが発生する理由として、納税者から税金の引き落としがなされるまで、一定のタイムラグが生じることとなりますから、クレジット会社は貸倒れのリスクを負う一方で、納税者は納税によりキャッシュアウトする期限が引き落としまで伸びるという利益が発生するため、と説明されています。このため、決済手数料は、クレジット会社からすぐにお金を貰える国税に対して支払われるものではなく、クレジット会社に支払われるものを意味します。
その他、クレジットカード納税については、納税証明書がすぐに発行されず、3週間程度時間がかかると言われています。おそらく、実際にクレジット会社から国税に納税があるまでの時間を考慮したと思われますが、こうなると融資などで至急納税証明が必要になる場合には対応できません。
納税証明が早急に必要な場合には、現金で納付することとして下さい。
専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。