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国税の明らかな非に謝罪を求めても、署長クラスがそれに応じる可能性は限りなく低い

調査官の無礼な発言など、問題がある税務調査がなされることは少なくありません。この場合、不適切な行為については、国税組織に当然に抗議するべきですが、謝罪があるまで税務調査を受けない、といった交渉は絶対にやってはいけません。あくまでも税務調査には協力するが、調査官の態度を改めるよう上司から指導することを求める、といったクレームを言うにとどめなければなりません。

このあたり、中々イメージできないかもしれませんが、実は国税組織としては非常にクレームに敏感であり、国税に非がある場合には、調査官の直属の上司である統括官は真摯に謝ることが多いです。ただし、統括官の上司に当たる署長や副署長は、絶対に頭を下げません。

言質を取られるのを嫌っている

署長や副署長などの職員は、国税内部では指定官職と言われ、一般職員と比べて絶大な権力を持っています。このような職員の発言は非常に重いものであり、失言などがあれば大問題になりますので、原則として納税者に対して謝罪などはしません。謝罪の際、国税組織に不利益な言質を取られないようにするためです。

誠実に反省しているのであれば、指定官職でも謝罪すべきと思われますが、国税内部ではこのような取扱いになっていますので、統括官などの謝罪で手を打ち、今後また同じような無礼な対応があれば、再度上司である統括官に抗議する、といった流れで考えておく必要があります。

信義則の成立を避ける目的

話は変わりますが、信義則という言葉をご存知でしょうか。信義則とは、相手の期待を裏切らないよう取引当事者は誠実な行動をするべきという原則をいい、これに違反すると法的な問題が生じます。実は、この信義則は税の世界でも問題になることがあり、例えば課税しないと国税が指導していたにもかかわらず、後日その指導を改めてやっぱり課税する、となると国税が納税者の信頼を裏切ったことになりますので、裁判で問題になる可能性があります。

しかし、このような建前があるにしても、税の実務で信義則違反の責任を国税が取ることはまずありません。というのも、信義則の違反が成立するのは、一般の国税職員ではなく、権威ある職員が発言するなどした場合に限られる、とされているからです。いうなれば、一般職員の発言について国税は責任を負う必要はない、とされているのです。

一方で、権威ある署長や副署長の発言はさすがに責任を取らざるを得ません。となると、問題が生じる可能性がありますから、上記の通り、頭を下げないことにしているのです。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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