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墓所や霊びょうは相続税0円?じゃあ純金の仏像を持てば最強の節税対策?

純金の仏像を買うと、相続税の節税につながる。こんな話を耳にされた方も多いと思います。この理由は、相続税が課税されない財産として、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」が挙げられていることがあります。このような財産の一つとして、仏像が挙げられることから、純金であっても相続税の対象にはならず、結果として現金で持つよりも節税になる、と解説されています。

それほど上手い話ではない

亡くなった方が入られるお墓などとは異なり、純金の仏像については、それを溶かして金として高い金額で売却することが可能になりますから、本当に相続税の節税になるのか常識で考えるとかなり疑問の余地があります。この点、国税内部の指示文書である相続税の通達を見ますと、仏壇,位牌、仏像等で日常礼拝の用に供しているものについては原則として非課税になるものの、商品、骨董品又は投資の対象として所有するものは非課税にならないとされています。

純金であっても即投資の対象になる、というわけではありませんからあらゆる純金の仏像に対して相続税が課税されるわけではありません。しかし、相続税の節税を目的とするのであれば、相当大きな金額を支払って仏像を作るはずで、そうなると一般常識としてこんな高額な仏像はいらないはず、と国税から指摘されて課税されるリスクはかなり大きいと考えられます。となれば、安易に節税になるからと判断するのは危険であり、慎重な対応が必要と言えます。

困ったことに、このあたりの事情は常識的なところですが、相続税増税という追い風を背景に、多くの業者や税理士が純金の仏像で節税しよう、などと宣伝していますので注意する必要があります。

節税商品の裏側には

純金の仏像に限った話ではありませんが、税理士が節税商品を提案する場合、節税商品を販売する会社から成約ベースで税理士に対し、バックマージンが入ることが多くあります。生命保険や相続対策で使われる賃貸不動産などはその典型ですが、税理士の中にはこれらのバックマージンだけを当てにして、本来必要のない節税をお客様に提案する者もいます。

信頼できる税理士であれば問題ありませんが、税理士の提案をうのみにすることなく慎重に判断する必要があります。例えば、私が以前勤めていた税理士事務所の管理職である税理士は、バックマージンが高いという理由だけで、よくわからない保険代理店をお客様に提案するよう事務所の職員に指示していました。

このような税理士に騙されることのないよう、注意したいところです。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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