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不動産や土地の取得価額を忘れずにしっかり管理しておくことの重要性

個人が土地や建物を売った場合、多額の譲渡所得が課税されますが、この場合の特例措置として、土地や建物などを交換したり、事業用資産を売却した譲渡代金で、その事業用資産の代替資産を購入したりした場合、一定の要件を満たす取引であれば、譲渡所得の課税の特例が受けられます。詳細は、こちらこちらをご参照下さい。

ここにもある通り、これらの特例を使うことで譲渡所得を圧縮することができ、節税することができます。要件は厳しいですが、有効な節税策になり得ますので、専門家と相談しながら積極的な利用を考えるべき制度と言われます。

免税ではなく課税の繰延べ

ところで、これらの制度を使う場合、押さえておくべきことはこれらの特例は免税ではなく課税の繰延べとされるということです。免税は文字通り、譲渡所得が免除されますので、将来その免除された所得に対して課税されることはありません。一方で、課税の繰延べであれば、あくまでも課税されるタイミングを先延ばしにするだけですから、将来課税されることがあります。

具体的に申し上げますと、例えば取得価額が1千万円のA土地(時価は3千万円)について、他人の時価3千万円のB土地と交換した場合、交換特例の適用を受ければB土地の取得費は時価の3千万円でなくA土地の取得価額の1千万円を引き継ぐことになります。このため、将来B土地を5千万円で売却すれば、4千万円(=5千万円―1千万円)の譲渡所得が発生することになります。

すなわち、これらの特例を適用すれば、取得費を引き継いで将来多額の課税が発生する可能性があるわけで、この点理解して特例を使う必要があります。

適用ミスが多い

取得費を引き継ぐ、という仕組みが設けられているわけですが、確定申告においてこの仕組みを失念するケースが非常に多いので注意が必要です。よくある例としては、30年前に取得した土地を20年前に交換した場合など、特例の適用を受けた年分が古いため、確認が十分にできないケースです。特に、親から相続した場合など、親がいくらで購入したかなど分からないケースも多くあります。

このため、特例の適用を受ける場合には、もともといくらで買ったのか、正確に記録しておく必要があります。

国税は見逃さない

このあたり、国税はきちんと記録を残していますので、古い話だからと言って見逃されることは絶対にありません。税理士の中には、古い記録は税務署に残っていないので大丈夫、といった安易な指導をする者もいますが、こと譲渡所得の特例については、正確な記録を残していますので注意するとともに、取得費がわからない場合には税務署に問い合わせることとして下さい。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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