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積極的安楽死が合法と認められる為の要件を弁護士に聞いてみた

リオオリンピックを機に引退した元パラリンピックの金メダリスト マリーケ・フェルフールトさんが、夢だったという日本への観光を目的に4月21日に来日した。マリーケ・フェルフールトさんは元々輝かしい成績をおさめたパラリンピアンとして注目を集めたが、それ以上に彼女がメディアで取り上げられるようになったのは、引退後の「安楽死の準備を整えた」と公表したことがきっかけになっている。彼女はその発言に対して、すぐに安楽死をするという意味ではないとした上で「豊かに生きるための安楽死」というものを世に問うために、呼び掛けたとのこと。

ちなみに安楽死は一部の国で合法とされている。日本では、特に積極的安楽死については、法律上明確に容認されているわけではない。しかし、医療の現場では、延命をどこまで行うのかという非常にセンシティブな問題がある。そこで今回は、積極的安楽死が、どのような条件を満たすと、違法性が無いとされるのか、医療問題に詳しい森谷和馬弁護士に寄稿して頂いた。

積極的安楽死とは?

ご存じの通り、人を殺せば殺人罪(刑法 199 条)が成立し、死刑・無期懲役・5年以上の懲役という重い刑罰が科されます。人の生命は最も重要な価値があるとみなされているからです。そのため、本人から依頼があってその人を殺すことも犯罪に問われます(刑法202条)。つまり人の生命を奪うことは「違法=社会として許されない行為」であるというのが大原則です。

ところが、医療の現場では、特に終末期医療と呼ばれる時期に、医師は患者の延命措置をどの程度まで行なうべきかという問題が起きています。とりわけ末期患者の苦痛が極めて大きいのにそれを和らげる手段がないような場合、医師は、延命治療をどこまで行なうのが正しいのかという難しい問題に直面します。

こうした状況で、医師がその患者に呼吸抑制剤のような致死的な薬剤を投与して、患者を死亡させる行為を「積極的安楽死」と言います。

積極的安楽死が容認される4要件とは?

では「積極的安楽死」が「合法=社会的に許される行為」とはどんな場合なのでしょうか。この点は法律の条文に示されている訳ではないので、解釈が必要になります。

東海大学付属病院の事件で裁判所が示した基準によると、

(1)患者が耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいること
(2)患者の死が避けられず、死期が迫っていること
(3)患者の肉体的苦痛を除去・緩和するための医療上の手段が尽くされ、代替手段がないこ と
(4)患者本人の意思表示があること

以上の4つの条件が全て満たされている必要があります。

消極的安楽死とは?

安楽死には「消極的安楽死」と呼ばれるパターンもあります。これは人工呼吸器を外すというような「延命治療の中止」で患者が死に至るケースです。

人工呼吸管理が必要な患 者の呼吸器を外せば間もなく死亡することは明らかなので、「積極的安楽死」と同様に「殺人」に該当しそうですが、実際の医療現場では、これに近い措置が行なわれているようです。

取材協力弁護士  森谷和馬 事務所HP
千葉県弁護士会所属。1976年に弁護士登録した当初から現在に至るまで、医療過誤・医療事故を患者側で手がけています。またその他に離婚問題や遺言、相続、遺産分割なども幅広く対応。

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