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解約時にも印紙税は還付される?還付される3つのケースを専門家が解説!

印紙税も税金である以上、一定の場合には、還付請求が認められます。この還付請求をする手続きを印紙税過誤納確認申請と言います。印紙税過誤納確認申請により還付の対象になるのは、原則として以下の3つです。

印紙税の還付制度

(1)印紙税の納付が過大である場合
200円の印紙を貼付すれば足りるのに、1,000円の印紙を貼付した場合。この場合には、差額の800円が還付されます。

(2)印紙税の対象にならない文書に印紙を貼付した場合
委任契約書など、印紙税の対象にならない文書には印紙が不要ですが、誤って印紙を納付した場合には、貼付した印紙の全額が還付されます。

(3)印紙税の納税義務が成立する前の文書に印紙を貼った場合
顧客に交付する前の領収書に印紙を貼っている場合など。納税義務が成立していませんから、誤納したとして全額が還付されます。

上記のうち、実務上最も多いのは(3)です。

印紙税の納税義務の成立

印紙税の納税義務は、以下のタイミングで成立しますので、その成立する前であれば、印紙税過誤納確認申請により、印紙税額の還付を請求することができます。

1 契約当事者である甲と乙の双方が捺印する文書(一般的な契約書)
→ 双方が捺印した段階。
2 領収書や注文請書など、甲が乙に交付する文書
→ 甲が乙に文書を交付した段階

このため、1については片方だけ捺印した文書、2については相手に渡していない文書に印紙を貼付した場合には、還付請求の対象になります。よくあるのは、契約書の下書きをして印紙を貼っていたものの、相手に確認を受けた際文言の修正等が必要になり、再度作成する、といったケースです。

なお、還付請求の対象になるのは、作成日から5年とされています。

解約は対象にならない

注意したいのは、契約をいったん有効に成立させたものの、後日契約を解除した場合、契約は有効ではなくなりますが、印紙税の還付は無理ということです。これは、双方が捺印した段階で納税義務が成立しているからです。

印紙税は文書課税と言われています。文書に書いていることだけで課税関係を判断するためこのように言われるのですが、書いてあることは契約が成立した、ということですから、実際に解除されても関係ないのです。

このため、解除した場合には、払い損になってしまう可能性がありますので、契約の際は、注意する必要があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。税務調査で望ましい結果を得るための法律論・交渉術に関する無料メルマガを提供中

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