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弁護士や税理士に払う報酬に源泉は必要だが弁護士法人や税理士法人は不要

税理士や弁護士などに報酬を支払う場合、原則として源泉徴収が必要になります。この徴収税額は、100万円までが10.21%、それを超えると20.42%の税額を徴収しなければなりません。

このあたり、よく知られた話ですが、非常に誤りが多い論点の一つに、交通費などの実費の取扱いがあります。

実費だからと言って

弁護士などの請求書を見ると、自身の報酬に加えて、交通費などの実費も請求されることがあります。この交通費について、弁護士が自分で負担した交通費であるため、報酬ではなく立替金に当たるとして、源泉徴収の対象から除いているケースがよく見られます。しかしながら、必ずしもこのような取扱いができるとは限りません。

実費として支払った交通費などについて、源泉徴収の対象から除くことができるのは、報酬・料金等の支払者が、直接交通機関等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合とされています。支払者が直接支払うことが要件ですから、立替金という性格があるにしても、源泉徴収の対象にする必要があるのです。

このため、50万円の仕事で5万円の交通費・宿泊費がかかった、という請求については、55万円を対象に源泉徴収をしなければならないことになります。

税理士法人等には不要

その他、勘違いしやすいこととして、税理士法人や弁護士法人などに支払う報酬がありあます。税理士や弁護士、というと源泉が必要と考えてしまいがちですが、相手が法人であれば、源泉徴収は不要になります。

加えて、弁護士や税理士といった士業であれば源泉徴収の対象に原則としてなるものの、最も身近な資格である行政書士に対する報酬については、それが「建築に関する申請若しくは届出」の書類の作成のような場合でない限り、源泉徴収は不要とされています。かなり混乱しやすい話ですので、しっかりと整理しましょう。

徴収漏れは支払者側が責任を持つ

源泉徴収はシンプルですが、上記のような混乱しやすい話がたくさんあります。このため、税務調査で勘違いが見つかることも多いですが、勘違いしたことの責任は、支払者が負う必要がありますので注意してください。

具体的には、8万円の源泉徴収がもれていた場合、まずは税務署に8万円を納税し、その後支払先に8万円を請求する、という流れになります。請求に応じて支払ってくれれば問題ないですが、資金繰りが厳しいといった理由で、確実に支払ってくれるとは限りません。こんな場合でも、国税は特に助けてくれませんので、日ごろから処理に注意したいところです。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。税務調査で望ましい結果を得るための法律論・交渉術に関する無料メルマガを提供中

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