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「外国税額控除」を利用するなら必ず注意したい二つの制限を税理士が解説

近年は、国外の会社に投資して配当金を得たり、国外の預金口座を開設して利息収入を得たり、国外の不動産に投資をして賃貸収入を得たりと、国を問わず所得を得ることが多くあります。このように、ワールドワイドでビジネスや投資を行う日本人については、所得税の申告の際、外国税額控除という制度の適用を考慮する必要があります。

日本に住所がある方は、所得税では居住者として取り扱われることになりますが、居住者であれば全世界の所得に対して所得税が課税されることになります。ここで問題になるのは、国外の会社からの配当金など、一定の国外の所得については、その所得が発生する国でも税金が課税されることがあります。こうなると、日本でも外国でも税金が課税されることになり、二重に税金を負担することになりますので、外国で課された税金を日本で控除する、外国税額控除の適用を受ける必要があります。

外国税額控除のひとつ目の制限

この外国税額控除には、いろいろと複雑な仕組みが設けられています。この理由は、外国で納税する税金を日本で控除するため、日本の税収を犠牲にするという側面が外国税額控除にはあるからです。

いろいろと複雑なポイントがありますので、最低限のポイントだけ解説します。

(1) 控除できる税は所得に関する税に限られる

外国税額控除の対象になる税は、所得に対して課税される税に限定されています。日本の制度を前提に解説しますが、例えば建物を売った場合、譲渡所得税はもちろん消費税が課税されます。この場合、対象になるのは所得に対して課される譲渡所得税であり、取引に対して課される消費税は対象にはなりません。

このため、所得が生じた国の制度を調べて、所得に対する税なのか確認をしなければなりません。

外国税額控除のふたつ目の制限

(2) 租税条約で免除されるものは控除できない

その他、租税条約の適用が問題になるケースがあります。

租税条約によっては、外国で課される税が免除されることがありますが、その免除については所定の手続きが必要になる場合があります。この手続きをしていなければ、外国税は課税されることになりますが、このような手続きもれで課された外国税については、外国税額控除の対象にはなりません。手続きをすれば、還付をうけることができるからです。

言い換えれば、所得が発生した外国との条約も見なければ正確な処理ができないということになります。

これら以外にも、外国税額控除にはいろいろな制限がありますので、国際課税に強い税理士のサポートを受けて実行する必要があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。税務調査で望ましい結果を得るための法律論・交渉術に関する無料メルマガを提供中。

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