法律問題は相談LINEで解決!

HOME > 法律コラム > 「休眠会社にすれば均等割は課されない」が本当に正しいか調べてみた

このエントリーをはてなブックマークに追加

「休眠会社にすれば均等割は課されない」が本当に正しいか調べてみた

法人に対して課される法人住民税は、納付する法人税に比例する法人税割と、資本金等の額や従業員数などに応じて一定額が課される均等割からなります。赤字であれば法人税も課税されませんので、法人税割はかかりませんが、均等割については一定額が課されるため赤字であっても課税されます。

この均等割を削減したい、というニーズは多くありますが、均等割が課されない方法として、よく言われるのは休眠会社のケースです。

休眠会社と均等割

税理士のホームページなどを見ると、会社が休業状態にある場合、均等割が課税されないと説明されています。実際のところ、実務においても、法人住民税などを所管する都税事務所に休眠の届出を出すことで、均等割を支払っていない、というケースは多々あります。

しかし、この点よく調べてみると、法律的に休眠会社について均等割を課さない、といった規定は見つかりません。都税事務所の担当者にヒアリングしたところ、休眠会社については都税事務所など、自治体の判断によって均等割を免除することがあり得る、ということでした。

都税事務所などの判断になるため

免除するかどうか、自治体の判断によるということですから、届出書を出しただけで均等割が課されないということはなく、都税事務所などに事情を相談した上で判断を仰ぐ必要がある、ということになります。この点、安易に考えない方がいいでしょう。

加えて、当然ながら休眠会社である必要がありますので、会社が何の営業活動もしていないことが大前提となります。ここでいう営業活動ですが、顧客獲得のための営業だけでなく、会社の口座から公共料金が引き落とされたり、会社の口座に売上のお金が入金されたりするようなことも含まれるとされています。このため、会社としての活動が全くない、という状況があるかどうか、きちんとチェックする必要があります。

税務署の申告書もチェックされる?

なお、これも都税事務所に聞いた話ですが、休眠会社としての届出がありながら、税務署に提出した法人税の申告書を確認すると、従業員に対する給与の支払いがあった、という会社も発見されるということでした。このような会社は休眠会社ではありませんので、遡って均等割が課税されることになると考えられます。

休眠会社であるかどうか、国税の申告書なども自治体は確認していますので、休眠会社として届け出るのであれば、慎重な対応が必要になります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。税務調査で望ましい結果を得るための法律論・交渉術に関する無料メルマガを提供中。

税務署なんて怖くない
税務署なんて怖くない
詳しくはこちら