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税務調査でチェックされる経費の基準が10万円以上である理由とその他のポイント

中小企業の法人税の税務調査では、売上や原価、そして人件費など金額が大きい科目を優先的にチェックしますので、交際費などの経費は後回しにすることが通例です。このため、経費はざっくりと調査官がチェックすることが多いのですが、この際押さえていただきたい基準として、支払金額が10万円以上のもの、という基準があります。

10万円が基準になる理由

10万円以上という金額が問題になるのは、それが消耗品と固定資産を分ける一つの基準だからです。法人税の規定上、10万円に満たない金額の機械などは支払った段階で一括で経費とすることができますが、10万円以上のものは、固定資産として計上し、数年に分けて減価償却として少しずつ経費としなければなりません。

本来、固定資産とするものを誤って消耗品として経費に紛れ込ませる、といったミスが多いものですから、経費をチェックする際は、その金額が10万円以上のものについて、優先的にチェックをすることが多いのです。

その他、注目したいのは

その他、国税が領収書をチェックする際、10万円という基準に併せて注目しているのは以下のようなものがあります。

1 現金決済のもの
2 ラウンド数字(切りのいい数字)のもの
3 役員の親族等に対するもの

1については、現金で支払うものは記録に残りづらいため、不正計算に多く使われますから、現金で支払っているもので、金額がそれなりのものは、入念にチェックする傾向があります。

2については、架空の経費をつける場合など、切りのいい数字で計上することが人間心理として多いため、内容をしっかりと確認することが多いです。

3について。役員やその親族に対し、交際費などの精算金としてお金を払うことは多くありますが、中には事業上の経費ではなく、私的な交際費の精算金などが支払われていることもあります。役員にお金を払う場合には、特に事業性に問題がないかチェックをしておく必要があると考えられます。

いずれにしても元帳を少し見ればわかる

上記の基準ですが、会社の決算資料である総勘定元帳をざっくりと見れば、簡単に分かります。このことは、調査官だけではなく、税理士や納税者についても同様です。このため、できれば調査官が来る前に、上記の基準に沿う経費については、内容を確認するとともに、資料をチェックしておくべきでしょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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