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来年から評価方法が変わる「広大地」ーー改正前後の価格を調べておかないと損?

平成29年度改正においては、広大地の評価について「現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する」という名目で改正が行われます。

ここにある通り、現在広大地の評価は広大地の面積が大きければ大きいほど、その評価額が減額される仕組みです。しかし、土地の売買をする際、その売買の金額は土地の形状や面積に基づいて決まりますので、一律面積に応じて減額されるようなものではありません。この点、問題視されて土地の個性に応じた評価とする、としたのがこの改正です。

この改正は、平成30年1月1日以後の相続等について適用されます。

広大地とはそもそも何か

ところで、広大地については、国税と大きなトラブルが発生しています。広大地と判断されれば、面積に応じた評価額の減額が受けられるものの、その判断が極めて複雑だからです。具体的には、以下のような要件を満たすことが必要になります。

1 その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であること
→ 具体的な地積の㎡の基準はありませんが、原則として、各地域の開発許可基準面積に照らして判断することになります。

2 開発行為を行う場合、公共公益的施設用地が必要であること
→ ごく簡単に言ってしまえば、仮に開発するとした場合に、その土地に道路が必要になるようなケースが該当することとされています。

3 大規模工場用地に該当しないこと

4 マンションの敷地用地に適していないこと

このようなあいまいな要件をクリアしなければ、広大地になりません。当然ながら、国税は厳格に解釈しますから、結果として見解の相違に発展することになります。この点を踏まえ、適用要件を明確化するという改正がなされる訳ですが、明確化されたとしても、従来とは異なり、土地の個性に応じた評価にもなりますので、評価額がアップして不利になる、といった事態にもなり得ます。

早く売る必要性もある?

実際に評価してみないと分かりませんが、本改正により、現状の評価額よりも評価が増えてしまう広大地が増えると想定されています。このため、早いうちに改正前後の評価額を算定するとともに、不要な土地であれば、早期の売却を検討する必要があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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