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高収入のトップ営業マンだけが行っている交際費の節税対策とその注意点を解説

会社の税務調査で問題になる項目の一つに、交際費があります。交際費については、原則として中小企業であれば800万円を超える部分、大企業についてはその支出額の全額が経費にならないという取扱いが設けられています。

ただし、交際費は営業活動に必要不可欠な費用であることは間違いなく、いわゆるトップ営業マンと言われる方々は、800万円という枠を超える支出額があることも珍しくはありません。このような営業マンの方によく言われる節税の一つに、法人ではなく個人で事業を行うことが挙げられます。

個人事業主は経費制限なし?

個人事業として営業を行う場合のメリットとして、法人税のような交際費の制限がないことが挙げられます。このため、建前として、交際費は個人事業主の場合上限なく経費になる、などと言われる訳ですが、実際のところはそんなに単純な話ではありません。

確かに、会社の税金のように、個人事業主の交際費は~円までしか経費にならない、といった制度はありませんが、それとは別に、家事関連費という経費の制限があります。家事関連費とは、生活費と事業の経費の中間のような費用をいいます。

この家事関連費については、事業に必要な経費であることが明らかに区分できる部分だけが経費になる、という取扱いが設けられています。家事関連費の典型は、自宅兼事務所の賃料ですが、この賃料はその全額が経費になるのではなく、自宅兼事務所の全体の面積のうち、事務所に使われる部分の面積に相当する部分の賃料が経費になります。

交際費についても、自分が飲み食いする部分もある訳ですから、建前としては家事関連費として区分されることになります。

交際費は事業部分を明らかにできない

ここで問題になるのは、面積のような客観的な基準がある自宅兼事務所の賃料とは異なり、交際費はその基準がないため、事業に使われる部分を明らかにすることが極めて困難、ということです。事業に必要な部分の区分ができないのであれば、建前としてはその全額が経費として認められないことになります。

ケースバイケースで処理される

この点を踏まえ、国税の内規では個人事業主の交際費は原則として経費にならないと解説されています。しかし、実際の税務調査ではここまで厳しい判断がなされることは多くなく、おとがめなしで済むことも多くあります。

個人事業主の交際費には上記のようなリスクがあることを踏まえながら、ケースバイケースで国税と交渉する。このようなスタンスで立ち向かう必要があると言えそうです。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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