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情報提供料や紹介料が交際費として処理できるかどうかの基準と注意事項

顧客の紹介を受けて紹介料を支払ったり、ビジネスに活かすため取引先などの情報の提供を受けて情報提供料を支払ったりすることがあります。このような紹介料や情報提供料については、事業活動上必要な経費であることは間違いありませんが、税務上の取扱いとしては、交際費に該当するとされる場合があります。交際費となると、大企業は原則としてその全額、中小企業は800万円を超える金額が経費になりませんから、税務上大きな負担につながる可能性があります。

情報提供料や紹介料が交際費となるための3つの要件

交際費といえば、接待などの費用をいいますので、一般的な感覚としては情報提供料や紹介料とは意味が違う、と考えがちです。しかし、一般常識とは異なり、以下の要件に該当しない情報提供料や紹介料については、交際費とされます。

(1) あらかじめ締結された契約に基づいて支払われるものであること。
(2) サービスの内容がその契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3) サービスの対価として支払う金額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。

「契約」と「契約書」の違いとは

上記の条件のうち、国税職員も誤解することが多い点は、「契約」という用語です。「契約」ではなく、「契約書」と誤って解釈し、契約書がない情報提供料や紹介料はすべて交際費になる、といった安易な指導が税務調査ではよく見られます。

税ではなく取引に関する法律の常識ですが、一般的に契約は、口約束でも成立するとされています。このため、契約書を作成することは義務付けられていませんので、口約束であったとしても、支払うべき金額やどのような業務を行うのか、両者で合意しておけば、原則として交際費にならず、全額が経費になります。

そもそも情報提供料が交際費になる理由

ところで、接待などとは全く関係のない情報提供料や紹介料のうち、上記の要件を満たさないものが交際費になるという理屈は、これらの費用が個人に支払われることも多いからです。個人の場合、申告が免除されるケースもあれば、申告義務はあるものの帳簿などの記録がいい加減なことが多々あります。こうなると、会社が支払った情報提供料や紹介料が個人では課税されない、という弊害が生じます。

このような弊害を防止するため、契約に基づかないなど存在の確認が難しい、情報提供料や交際費については、会社の経費を制限する交際費に該当するとし、個人の税負担を会社に転換することにしているのです。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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