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「税務署の天敵が会計検査院」である2つの理由を元国税調査官が解説

会計検査院という組織は、税務署にとって天敵です。税務署では、毎年年末や春先に、かなり大きな会社の申告書の内容の見直しを税務調査の担当部署を中心に行いますが、このような見直しを行うのは、毎年この時期に、会計検査院が税務署に調査に来る可能性があるからです。

会計検査院は、税務署ごとの納税者のうち、所定の要件を満たす大きな会社については会計検査院該当の法人として、管理しています。会計検査院該当の法人については、納税者に申告書を複数提出させるなどして、会計検査院にも申告書を送付することになっています。

会計検査院は、このような会計検査院該当の法人の申告書について、税務署の処理状況のチェックを行うために、わざわざ税務署にきて、内容の確認を行うのです。

厳しく指導される

会計検査院の指導のうち、代表的なものは以下の2点です。

1 申告書上、明らかに間違いが見られるのに、税務署が調査によって是正していない場合
2 税務調査を実施しているにもかかわらず、その処理が間違っている場合

1についてですが、税理士が作る申告書はかなりミスがあるものの、税務署は全部の申告書を見ている訳ではありませんので、税務署が税理士のミスに気付かない、といった事態はかなり多くあります。会計検査院該当の法人について、このような事態が生じると叱責されますので、会計検査院の調査の時期に併せて、何も問題がないか、チェックをし、場合によっては納税者に申告を訂正するよう依頼します。

次に、2についてですが、調査官がいい加減な指導をしたり、仕事に手を抜いてミスをしたりと、かなり前に税務調査が終わっているにもかかわらずミスが見つかることがあります。このような不手際が見つかると、これまた叱責を受けるので、再度チェックをするとともに、自分たちの過去のミスは棚に上げて、過去の税務調査先に、再度修正申告書の提出を依頼します。

申告書のチェックも基本できない

このように、会計検査院が調査に来る前に国税職員は申告書の内容を見直す訳ですが、法律を知らないだけではなく、申告書も書けない国税職員がほとんどであるため、十分なチェックをすることが現実問題としてできません。

結果として、チェックがもれて、会計検査院に不手際を発見されることも多々あります。納税者を税務調査でいじめることもある税務署ですが、その真逆が行われる嫌な実務が会計検査院の調査なのです。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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