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海外取引で交わす契約書に印紙は必要?そもそも海外取引の契約書の定義とは?

言うまでもないことかも知れませんが、印紙税は日本の税金ですので、外国の契約書に対して印紙税を課税することはできません。ここで問題になるのは、外国で作成される契約書の判断基準です。この基準は、印紙税の対象になる文書の作成時点が外国かどうかで判断することになります。

文書の作成時点ですが、これは大きく分けて二つあります。契約書など、甲乙両方の署名押印が必要な文書は、その両名の署名がなされた段階を意味し、領収書など、一方が相手方に交付する文書については、その交付の段階となります。

海外に送って署名押印してもらえばOK

上記を踏まえると、一般的な契約書の場合、自社で署名押印した後、海外にいる相手方に郵送をし、その相手方に署名押印を貰えば印紙税はかからないことになります。問題になるのはあくまでも「作成」ですから、海外で作成した契約書を日本で保存していたとしても、その保存している文書に対して印紙を貼るように指導されることはありません。

国税の対応としては

このようなことを申し上げると、国税はどうやって海外で作成されたかどうか、その調査する方法に疑問が生じると思われます。この点、私の現職時代、先輩職員に聞いてみましたが、海外で作ったと開き直られると、立証責任は国税にあるため、なかなか確認できず見過ごすことが多い、と言っていました。国際課税については、調査することが難しいと言われますが、このことは印紙税も同様であるようです。

ただし、海外に契約書を送って相手方から返信させる、とすれば、送った段階で海外郵送に係る切手などの支出があるでしょうから、このあたりを証拠として調査する可能性が大きいと考えられます。加えて、国外で調印した、という反論に対しても、帳簿などから、海外に旅行した交通費の明細を検討するなどして、間接的に証拠をつかむ、といった税務調査がなされる可能性があります。

いずれしても、最終的には修正申告に近い「不納付事実申出書」というギブアップの書類を出すよう指導されますので、不利な内容は書かれていないか、しっかりとチェックしなければなりません。

メールにした方がいい?

このような調査が行われるとすれば、ただただ面倒なだけです。わざわざ海外に文書をM載っていかずとも、メールやコピーベースの契約は印紙税が課税されませんので、こちらを検討した方がいいでしょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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