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税務調査で税務と無関係の資料(会社概要等)を求められても従ってはいけない理由

税務調査で最も多く寄せられる質問の一つに、「税務調査で調査官がどこまで資料を確認できるか」ということがあります。これについては、原則として、税額の計算に関係する資料について、調査官は会社の資料を確認することができる、ということが正解になります。税額の計算に関係する資料だけ、というのがポイントで、税務調査は税額の計算が正しいかどうかを判断するために行われますから、法人の税金の計算に明らかに関係ない私物などを見せる必要があります。

ただし、「原則として」と一言付しております通り、これには例外があり、納税者が調査官に許可を与えれば、調査官は経営者の私物など、法人の税金の計算に関係ない資料についても見ることができます。このため、見せるべき資料は見せ、見せる必要のない資料については、見せることを拒否する必要があります。

調査官が確実に依頼する資料~会社のパンフレット~

ところで、税務調査で調査官が確実に依頼する資料の一つに、会社のパンフレットが挙げられます。パンフレットには会社の概要やグループ会社の構成などが端的に書かれていますので、これを見て税務調査を円滑に進めようとしているのです。

このパンフレットですが、会社の事業に関係する資料ではあるものの、税額の計算に関係するような資料ではありません。となれば、税務調査で国税に見せる必要はない資料と考えられます。

調査官が確実に依頼する資料~会社の組織図や席図~

上記に加え、会社の組織図や座席図を要請することも多くあります。会社の組織図は、役員や従業員の権限を明確にしたものですので、国税としては誰にヒアリングするべきかが一目瞭然に分かります。こうなると、資料の依頼などが簡単にできますので、必ず税務調査前に確認しています。

次に、座席図ですが、これは架空人件費を調査する上で参考になります。雇ってもいない者を雇ったことにするのが架空人件費ですが、架空人件費については帳簿の人件費の金額を改ざんすることはあっても、手間がかかりますので座席図まで変えることはあまりありません。となれば、人件費に関する帳簿には氏名があっても、座席図には氏名のない従業員が存在し、このような従業員について架空人件費と疑って調査することになります。

ただし、人件費に関する帳簿資料は別にして、座席図についても税金の計算には影響を与えませんので、拒否することは可能と考えられます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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