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「節税対策 短期前払費用の特例」を検討する上で大事な「重要性の原則」とは?

代表的な節税方法の一つに、短期前払費用の特例があります。この特例は、前払費用のうち、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日に経費としていれば、その段階で経費とすることができる、というものです。

この代表例は家賃です。例えば、12月決算の会社が今年の12月に来年1年分の家賃を前払いした場合、本来その前払した家賃は翌年の経費となるべきものですが、支払った今年12月において全額経費とすることができます。

短期前払費用の趣旨

ところで、このような特例が認められている理由は、会計基準における重要性の原則にあると言われます。重要性の原則とは、会社の経営上重要でない費用については、簡便に処理することができるという原則をいいます。短期前払費用は支払った段階で、全部経費にするという簡単な処理を行いますので、この重要性の原則から認められた処理なのです。

このため、言い換えれば、重要性の原則の対象外となる費用については、上記の短期前払費用の条件を満たしていたとしても、短期前払費用の特例が認められないとされます。

重要性の原則の判断基準

このため、重要性の原則の対象範囲を押さえる必要がある訳ですが、これは2つの基準に従って判断すると言われます。

1 量的重要性

これは、支出する費用の金額に着目した考え方です。金額の大きなものは、重要性が乏しいとは言えませんので、短期前払費用の特例が認められない場合があります。

いくらまでが重要性がないか、といった具体的な金額の基準がないため困りますが、1500万円の短期前払費用を認めた事例もあれば、販管費全体の5%の短期前払費用が認められなかった事例もあります。

2 質的重要性

これは、支出する費用の内容に着目した考え方です。会社にとって重要な、売上原価や人件費といったものについては、原則として重要性の原則の適用対象外と判断されます。

このため、これらの費用について、短期前払費用の特例の適用を受けたとすれば、国税から問題視される可能性が極めて大きいと言えますので、注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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