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「個人事業主の交際費は全額経費」を国税はどう捉えているか元国税が解説

法人の税金の計算上、交際費は原則として経費にならないとされています。具体的には資本金1億円超の会社などは原則としてその全額、それ以外の会社は年800万円を超える部分が経費になりません。

一方で、個人事業主の交際費については、このような制限は法律上設けられていません。このため、交際費がずば抜けて多い、フリーランスのトップクラスの営業マンについては、敢えて法人化せず、個人として交際費を全額経費とした方がいいと言われます。

必要経費の意義

このような取扱いについて、国税の内規を見ますと、個人事業主の交際費については、原則として経費にならないと解説されています。この理由は、所得税の法律に交際費との取扱いは明確とされていないものの、所得税の経費を意味する「必要経費」にそぐわないからと説明されています。

個人事業主の経費である必要経費は、「業務の遂行上直接必要なものに限られる」というのが国税のスタンスです。加えて、これは裁判で示されたことですが、直接必要かどうかは、経費を支出した納税者本人の主観ではなく、客観的に判断されると解説されています。これらを交際費に当てはめた場合、交際費は必ずしも売上に結び付くと言えない面や、業務に必要と言えない面もありますので、原則として必要経費に当たらないというのが国税の解釈であるようです。

OBの見解もあるが…

こういう訳で、個人事業主の交際費を安易に経費にするのは問題があります。しかし、ある税務署OBの書籍には、個人事業主の交際費は全額経費になると書かれてありました。確かに、国税の内規には原則として経費にならないと書かれていますが、所得税の税務調査で実際に問題になるかと言えば、それほど多くはないという印象があります。

ただし、交際費として処理した金額が大きければ、この内規をたてに国税が否認してくることも考えられますので、交際費の支出額が大きい場合には、税理士などに相談した方が望ましいでしょう。

贈答は経費になりやすい?

ところで、交際費となる費用は接待などの費用だけでなく、取引先への贈答品もあります。あくまでも私の個人的な見解ですが、証拠が残りにくく、かつ過剰な金額になりやすい接待などとは異なり、証拠が残り、かつそれほど多額にならない贈答品の支給は、その支給先が取引先である場合には、経費として認められやすいという印象があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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