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貸家建付地の評価で重要なポイントは「空き家の解釈とその有無」

相続税対策として、アパートを建てるといったことがよく行われます。この理由は、他人に土地を貸したり、建物を貸したりすると相続税の対象となる評価額が下がるからです。具体的には、建物を貸す場合、建物の評価額を原則として30%下げることができます。一方で、土地を他人に貸せば、借地権割合という割合分、土地の評価を下げることができます。

貸家建付地とは

上記と同じ理屈で、貸家建付地についても、一定の評価減が認められています。貸家建付地とは、自分の土地に貸家(アパートなど)を建築した場合の土地をいいます。この場合、貸家の評価は上記の通り30%減ることに加え、土地については、原則として借地権割合×30%だけ、評価額を下げることができます。

空き家の場合には注意が必要

このように、貸家や貸家建付地については一定額の評価減ができる訳ですが、注意したいのは相続開始時点において空室がある場合です。相続開始時点において空室があれば、空いている部分については評価減の対象から除く必要があります。

具体的に申し上げると、例えば全部で10室のアパートについて、3室が相続時点で空室であれば、評価減は以下の割合となります。

貸家の評価減=30%×(10室-3室)/10室
貸家建付地の評価減=30%×借地権割合×(10室-3室)/10室

なお、相続開始時点において空室であるかどうかについては、単に入居者がいない場合を意味するのではありません。継続的に貸している物件であれば、一時的に入居者がいなくなるといった場合もありますが、このような一時的に入居者がいないケースについては、空室とは見ないことになっています。

一時的に入居者がいないかどうかについては、以下のようなポイントから判断します。

(1)相続開始前に継続的に賃貸されてきた部屋かどうか
(2)賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われているかどうか
(3)空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
(4)空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
(5)相続開始後の賃貸が一時的なものではないかどうか

株価計算でも使える

貸家や貸家建付地の評価減については、同族法人の株式を純資産価額方式で評価する場合にも適用されます。純資産価額方式とは、同族法人が持っている資産や負債を、相続税の財産評価を基に評価した金額をベースに株価を計算する方法をいいますが、この場合同族法人が持っている貸家は原則3割減、貸家建付地は原則借地権割合×30%減で評価することができます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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