HOME > 法律コラム > 弁護士が教えるバイラルメディアの記事引用問題と著作権
バイラルとはネット上のコンテンツが口コミで話題になっている状態をいいます。
そしてそのコンテンツを誰かに教えたくなるようなタイトルに書き換え、更にそのコンテンツを集約し、SNSなどを通して短期間でアクセスを稼いでいるメディアをバイラルメディアといいます。
「思わず教えたくなる◯◯の3つの方法」
「涙なしでは見れない感動の再会動画3選」
このようなタイトルが付いた記事を見たことはありませんか?
バイラルメディアの多くは、自分達で創りだしたコンテンツではなく、その内容自体を他のサイトから引用し、沢山の閲覧を稼ぎ収益をあげています。
そこで今回はこの問題について星野弁護士に話を聞いてみました。
まず,他人がインターネット上に掲載したコンテンツは,記事や写真,動画等であることが多いと思いますが,これらは,特段の登録等がなくても,創作性がないようなものでない限り,基本的には作成者に著作権が発生します。
コンテンツ自体はもちろん,作成者がコンテンツに名付けたタイトル部分も著作権により保護の対象となります。
したがって,タイトル部分も含め,これを利用しようとすれば,作成者の同意か,引用の要件を満たす必要があります。
著作者の同意なくとも,著作物の利用ができる引用の要件として下記が必要です。
(1)公正な観光に合致し,かつ報道,批評,研究その他引用の目的上正当な範囲内
(2)引用部分と自己の著作が明確に区別できること
(3)自己の著作物が主,他人の著作物が従の関係に
単なる趣味で引用したり,営業の企画書に引用するというのは基本的に正当な目的にあたりません。
まとめサイトなどは,批評目的といえなくもないですが,閲覧を稼ぎ収益を上げる目的であれば,正当目的でないと判断される可能性があります。
なお,主従関係については,少なくても概ね過半部分は自己の著作物である必要があるでしょう。
引用元のコンテンツが著作物に該当する場合,作成者の同意なく,自分のサイトに取り込んで掲載するには,引用の要件を満たす必要がありますが,前述したように閲覧を稼ぎ収益を上げる目的では引用と認められない可能性があります。
加えて,元のコンテンツを誰かに教えたくなるようなタイトルに書き換える行為も,無断改変として著作者人格権の侵害となる可能性があります。
著作権違反となる可能性は十分あります。
著作者は,侵害行為(掲載行為)の差止請求,損害賠償請求などができます。
警告や削除依頼をしても,無断でのコンテンツ利用行為が中止されない場合には,弁護士に相談の上,法的措置を検討しましょう。
弁護士 星野宏明(東京弁護士会)
千葉県立東葛飾高校 卒業
早稲田大学法学部 退学(大学院飛び級のため)
慶應義塾大学大学院法務研究科 修了
北京大学へ語学留学(中国語による業務可能)
敬海法律事務所(中国広州市)にて実務研修
弁護士法人淀屋橋・山上合同 勤務を経て独立開業
星野法律事務所 共同代表
事務所HP:http://hoshino-partners.com/
一般企業法務,顧問業務,中国法務,不貞による慰謝料請求,外国人の離婚事件,国際案件,中小企業の法律相談,ペット訴訟等が専門