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税理士もよく間違える「法人と個人事業主の事業開始の違い」とは?

建物を購入した場合など、多額の消費税を納税した場合には、消費税が還付される場合があります。消費税の還付について、最低限押さえておくべきは、消費税の納税義務者である課税事業者にならなければならないということです。

ここで問題になるのは、居住用マンションを購入されるなど、居住用の賃料を目的に不動産投資を行う場合には、原則として課税事業者になれないということです。この理由は、2年前の消費税がかかる売上(課税売上)が1千万円以上の場合に原則として課税事業者になりますが、居住用賃料は消費税が非課税であるため、課税売上が1千万円未満であることがほとんどだからです。

課税事業者選択届出書

このような制限がありますので、実務上は課税事業者選択届出書という届出書を提出することが多くあります。この届出書を税務署に提出すると、原則としてその翌期から、課税売上に関係なく課税事業者になることができます。

原則として翌期から、と述べましたが、その例外として事業を開始した日の属する年度については、その年度から課税事業者になることができます。

事業開始の意義

ところで、先の事業開始ですが、法人については原則として、法人を設立した第1期目が該当します。一方で、個人事業主については、課税売上に関する事業を開始した日の属する年分がこれに該当するとされています。

税理士もよく間違えるのですが、個人事業主については、事業を開始した年分ではなく、課税売上に関する事業を開始した日の属する年分が問題になりますから、課税売上に関係ない事業を従来から行っていたとしても、課税売上に関係する事業を開始しない限りは、課税事業者選択届出書の提出期限が問題になる、「事業を開始した」ことにはなりません。

このため、課税売上に関係ない、消費税が非課税の居住用賃料を発生する不動産投資を過去行っていたとしても、課税売上が発生しない限りは「事業を開始した」ことにはなりませんので、課税売上が新たに発生した年度で課税事業者選択届出書を提出すれば、課税事業者になれることになります。

このため、その典型として過去は居住用物件の投資しかしていなかったものの、今年に入って新たにテナントの物件を購入するような場合には、今年中に課税事業者選択届出書を提出することで消費税が還付されることになります。

原則は設備投資する前の年分までに課税事業者選択届出書を出さなければならないとされているため、このあたり誤解する税理士が多いですから、注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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