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「受取配当益金不算入制度」の概要と有効な活用方法を税理士が解説!

法人税の非課税として、受取配当益金不算入制度というものがあります。文字通り、受取配当金について法人税の収益を意味する益金に含めないという制度です。益金に含まれないのであれば、法人税の対象にはなりません。

法人税において、なぜ受取配当金が非課税になるかといえば、それは二重課税になるからです。具体的には、配当金はそれを支払う法人について、法人税を支払った後の剰余金から支出されます。すなわち、一度法人税の対象になった剰余金から支払われるため、それを受け取る法人で法人税を課税するとなると、二重に課税されることになります。

しかし、このような趣旨とは異なり、近年は税収を確保するといった観点から、受取配当金であってもその全額が非課税にならない場合があるなど、非課税となる金額が制限されています。

現行の仕組み

具体的には、受取配当金の非課税金額は、以下の株式等の種類に応じて、以下の金額とされています。

1 完全法人株式等(100%支配している法人の株式)・・・配当金額の100%
2 関連法人株式等(1/3超100%未満の株式を保有している法人の株式)・・・配当金額の100%から、負債利子の金額を控除した残額
3 その他の株式等(5%超1/3以下の株式を保有している法人の株式)・・・配当金額の50%
4 非支配目的株式株式等(5%以下の株式を保有している法人の株式)・・・配当金額の20%

配当金額はそれほど大きくないこともあって、受取配当益金不算入制度の適用を受けたとしても、節税にあまり効果がありません。ただし、ホールディング会社を作ってグループ会社ベースで経営する場合などは、子会社の利益を配当金として無税で吸い上げることができますので、効果的です。

そもそも非課税にならないものもある

上記以外の取扱いとして、配当金であってもそもそも受取配当益金不算入制度の対象にならない配当もあります。例えば、以下の配当金です。

1 外国法人から受ける配当金
2 公益法人などから受ける配当金

1については、外国法人は日本に拠点を設けてビジネスを行う場合など一定の場合を除いて日本の法人税の対象になりません。受取配当益金不算入制度は日本の法人税の二重課税を防止するものですので、日本の法人税の対象にならない外国法人は対象外とされています。

同様に、2の公益法人についても、一定の場合を除いて法人税は非課税です。このため、対象外とされています。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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