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法人が合併する際の法人税を中心とした課税関係について税理士が解説

法人が合併した場合、法人税においては合併される法人(被合併法人)が合併をする法人(合併法人)に対して、自分の資産負債を譲渡したとして税額計算を行うことになっています。資産負債を譲渡する場合、法人税は時価課税の原則がありますので、資産負債の含み益に対して課税されることが原則になります。

こうなると、被合併法人には多額の法人税が課税されることになるため、所定の合併については、時価ではなく帳簿価額で譲渡を行ったとして、法人税の課税がない適格合併として取り扱うことになっています。

なお、合併をする場合には、合併の効力が生じる合併期日の前日で被合併法人の決算を締め、その決算に関して法人税が課税されます。

適格合併の要件

法人税の課税が合併段階でない、適格合併の要件は、次のいずれかに該当する合併で、原則として被合併法人の株主に合併法人の株式以外の資産が交付されないものをいいます。

(1) 100%支配の関係(完全支配関係)があり、かつその完全支配関係が継続する見込みがある場合の合併

この合併は、100%親会社との合併や、同一の株主が100%保有している兄弟会社間の合併を意味します。

(2) 50%超支配の関係(支配関係)があり、かつその支配関係が継続する見込みがある合併のうち、以下の2つの要件を満たすもの

・被合併法人の従業員などのおおむね80%以上が合併法人の事業に引き継がれること
・被合併法人の主要な事業が継続すること

なお、支配関係がある場合の合併とは、50%超支配されている親会社との合併や、同一の株主が50%超保有している兄弟会社間の合併を意味します。

(3) 上記以外で、合併法人と被合併法人が共同して事業を営むための一定の合併

非適格合併の場合にはみなし配当のリスクもある

適格合併の場合、合併に際して課税関係は生じませんので処理が楽ですが、適格合併以外の合併(非適格合併)については、被合併法人に課税関係が生じることに加え、その株主にみなし配当という課税問題が生じる場合があります。

具体的には、合併に際して被合併法人の株主に、合併の対価としてお金を交付すれば、そのお金のうち一定の金額は配当と変わらないとして、みなし配当という配当として株主に所得税などが課税される場合があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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