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懲りない人には重加算税よりも重い加重措置もあり得る?加重措置とは?

平成28年度税制改正により、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について、重加算税の加重措置が適用されることになりました。この制度は、繰り返し不正行為を行う者に対しては、再発防止の意味も込めてより思い負担を設けるという趣旨の制度であり、具体的には過去5年以内に同じ税目で重加算税を課せられている場合には、通常の重加算税に加えて、10%上乗せで重加算税を課税するというものです。

重加算税は不正取引に対して課されるもので、その税率は原則として35%です。このため、加重措置が適用されれば、原則として45%とほぼ本税の半分の重加算税がかかることになります。国税としては、税金が取れればうれしいですから、より厳しい税務調査がなされることになると懸念されています。

重加算税はネゴも多い

重加算税は不正行為に対してそれを抑制する目的で課せられているものですが、実務では不正行為に対するペナルティーとしての意味に加え、国税職員の評価項目としての意味があります。国税職員が税務調査で重加算税を見つけると、高く評価されます。

本当に不正行為を行っている会社でそれを発見できれば価値がありますが、中には不正行為と言えるか微妙なものについても、口八丁で重加算税を取ろうとする国税職員もいますので注意が必要です。国税の口八丁に負けて本来かからない重加算税に納得してしまうと、上記の加重措置があることから、将来にわたり不利益を追うことになります。

困ったことに、本来このような不利益を負わないために税理士がしっかりと納税者を守るべきですが、このような義務を果たさない税理士も多くいるため注意が必要です。私が以前勤めていた会計事務所の所長税理士は、重加算税を課されてもその分追徴される税額が減れば大いに喜ぶべきであると部下職員に指導し、国税の安易な重加算税に係る指導を受け入れていました。

重加算税と自主修正

ところで、自主的に国税に対して行った修正申告(自主修正)については、原則として重加算税は課税されません。自主修正については、一部平成28年度改正において見直しがなされていますが、重加算税に関するこの事項については、改正はありません。

自主修正が厳しくなった、と言われますが、重加算税の削減と言う使い方はまだ残っていますので、積極的に活用するべきでしょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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