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明らかな違法にも拘わらず横目調査を必要悪だと言い張り隠蔽工作に走る国税

先日、横目で収集した資料を活用して脱税を発見した国税の税務調査について、違法性があるかどうかが問題になった裁判がありました。ここで問題になる横目とは、税務署が本来は情報収集できない資料について、こっそりと覗き見て税務調査の情報とする行為をいいます。

横目は違法

具体例を申しますと、例えば税務署はある納税者の調査に関連して、その納税者が口座を開設している銀行を調査することがあります。税務署は税務調査の対象になっている納税者に係る情報を収集する限りにおいて、国税は納税者の取引先についても税務調査ができますから、その納税者の口座を取引銀行で確認することができます。この納税者以外の者の情報はその銀行では収集できませんが、銀行員の目を盗んで複数の者の口座情報を国税は入手しています。これが横目なのです。

本来得てはいけない情報をこっそりと得ているので、建前として、原則横目は違法です。

現場は必要悪という整理

このような建前は知識が乏しい国税の調査官も十分に理解していますが、それでも横目をやめることはありません。と言いますのも、横目のような形で情報収集しなければ、脱税者を発見することは不可能に近いからです。結果として、横目は税務調査の必要悪という理解を多くの国税職員は持っています。

ただし、必要悪とは言っても上司の命令に調査官は背くことはありませんので、当然ながら上司や組織の指示の下に横目の情報収集を行っています。

隠ぺい工作に走る国税

このように、横目は調査官が日常茶飯事に行っている調査ですが、冒頭の裁判において証言をした国税職員は、横目で情報収集したことはないと主張しています。国税にいた身としては、このような誰にも分かる嘘をついて恥ずかしくないのか、という感情ですが組織としては違法な行為を行っていることを認められないということなのでしょう。

前国税庁長官も似たようなことを言っていましたが、嘘をつくのも公務員の立派な仕事なのでしょう。

それに止まらず

それに止まらず、国税は裁判において、横目を使わずにどうやってその脱税者の情報を掴んだのか、それについても守秘義務を盾に公開しなかったようです。税務調査で守秘義務を盾に国税に回答を拒めば、場合によっては悪質な行為として重加算税がかかりますが、このあたり国税は納税者に恥ずかしいと思わないのか、大いに疑問があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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