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消費税の計算において問題となる「課税売上割合に準ずる割合」とは?

消費税の計算上、課税売上割合という割合が問題になります。課税売上割合とは、当期のすべての消費税の対象になる売上に対する消費税がかかる売上の割合を言います。この割合が95%を下回ると、支払った消費税の全額の控除ができません。

控除できる金額

具体的には、この場合に控除ができる金額は、原則として以下の算式で計算される金額とされています。

A+B×課税売上割合
A・・・・消費税が課税される売上に対応する経費×8%
B・・・・消費税が課税される売上にも、課税されない売上にも対応する経費×8%

少し補足しますが、「消費税が課税される売上に対応する経費」とは、商品の仕入れなどが原則として対応します。商品を売れば、それは消費税が課税されるのが原則ですが、商品の仕入れはこのような売上を上げるのに必要不可欠なものです。

一方で、「消費税が課税される売上にも、課税されないにも対応する売上経費」とは、いわゆる一般管理費のような費用です。一般管理費は会社全体で発生するものですから、どの売上に対応する費用なのか、よく分かりません。このように紐づけが難しいものが、ここで言う経費に該当します。

課税売上割合に準ずる割合という特例

ただし、上記の計算の特例として、課税売上割合に準ずる割合という割合を使うことが出来る場合があります。先に見た通り課税売上割合は、当期のすべての消費税の対象になる売上に対する消費税がかかる売上の割合を言いますが、そうなるとたまたま非課税の売上が多かったような場合は、課税売上割合が大きく下がって控除できる金額が少なくなってしまいます。

このような事態を防ぐために、課税売上割合よりも合理的と認められる割合があるときは、その割合を使おうとする年度の末日までに税務署長の承認を得てその割合をもって控除できる金額の計算をすることができます。具体的には、消費税が課される売上の部門と課されない売り上げの部門について、これらの床面積や使用人の数の割合を使うこととして税務署長に対して申請することができます。

なお、この特例の選択の効果は、その適用をやめるという選択をして税務署に届出をしない限り、将来にわたって続きますので注意していください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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