HOME > 法律コラム > 【税務調査のシーズン】国税発表の資料から読みとく「税務調査に当たる確率」
税務調査はどの程度の頻度で行われているのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
ある程度事業規模が大きい会社になると、5~6年に1回は税務調査に入られる、というのが通説のようですが、国税が発表している資料を読み解くと、それほど頻繁に税務調査が行われていないことがわかります。
毎年国税から発表されている、最新の資料をみてみましょう。
「平成24事務年度における法人税・法人消費税の調査事績の概要」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/hojin_chosa/01.htm
ちなみに、平成24事務年度とは、平成24年7月から平成25年6月までの期間を指していて、その間の税務調査に関する数字が公開されています。
これを見ると、1年間で実施されている、法人に対する税務調査の件数は「約93,000件」。
日本における法人の申告件数は約270万社ですから、単純に割り算をすると、1年間で税務調査にあたる確率は「約3.4%」。
この確率は、あくまでも1年間ですから、5年のうちに税務調査に入られる確率で考えても、20%に満たないのです。
この確率を高いとみるか、低いとみるかは人によって違うと思いますが、私は明らかに「低い」と考えます。
なぜなら、税金の時効は最大でも7年。これは脱税の場合であって、通常の税務調査では5年しか遡れないことになっています。
年間で税務調査に入られる確率が3.4%だとすると、30年に1回しか入られないというわけです(あくまでも確率論です)。
税金の時効と、税務調査の頻度を比べてみると、どう考えても実態に即していないと考えざるを得ないわけです。
ちなみに、過去の税務調査の頻度を国税が公開している資料を見ると、ここ20年以上の間、税務調査の頻度は下がり続けていることがわかります。
「最近の税務行政の動向」
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/shingikai/110303/shiryo/pdf/04.pdf
(6ページ「実調率の低下」)
バブル全盛といわれた平成元年の税務調査状況でも「8.5%」ですから、現在がいかに低い数字なのかがおわかりいただけると思います。
税務調査の頻度が低いからといって、脱税には手を出してはいけないわけなのですが、ここまで税務調査の頻度が低いと、脱税の誘因になっていることもまた事実なのでしょう。