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遺産分割協議がまとまらず未分割となった財産に非上場株式があった場合の相続

相続が発生した場合、相続財産については相続人の間で遺産分割協議を行い誰が引き継ぐかを決めることになります。ただし、この遺産分割協議はなかなかまとまらず、場合によっては裁判に発展することも多くあります。このように、分割協議が終わっていないことを未分割と言います。

未分割の場合、相続財産は相続人の共有になると言われています。共有とは共有財産を有する者がその財産権を共同して持っている状態を言います。共同して持っていることから、例えば一筆の土地を1/3ずつ共有者が共有していた場合、その土地を売って儲けた譲渡所得は、それぞれ1/3ずつ申告することになっています。

議決権は持分按分しない

未分割と共有は、税務上同様に考えますので、未分割と聞くと持分(相続の場合は、相続分)で按分して考えるというのが税務の基本です。しかし、その例外として、株式を評価する場合の議決権の判定があります。

上場していない、いわゆる非上場会社については、原則として取引相場のない株式として評価されることになります。この取引相場のない株式は、この株式を相続した者の議決権に応じて、異なる評価をします。

具体的には、議決権が少ないと評価される場合は、配当還元方式という計算を行います。一方で、議決権が多いと評価される場合は、原則的評価方式という計算が行われます。配当還元方式は原則的評価方式よりも著しく低い価格が計算されることがほとんどですので、相続税対策を考える上では、配当還元方式で評価されるよう、議決権は少ない方がいいということになります。

未分割の株式は、上記のように共有の考えに従って、議決権も持分に応じて計算すると思われる方も多いですが、こと取引相場のない株式を評価する場合の議決権は、持分を乗じて計算するようなことはありません。

持分を考慮しない理由

持分を考慮しない理由は、相続未分割の状態は一時的なものだからです。実際のところ、将来的に各相続は遺産分割を通じて、確定的に株式を相続します。となった場合、未分割を考慮して議決権を按分すると、納税者に有利な「配当還元方式」が広く使われると考えられます。

これを防ぐため,相続人が保有する株式のみで評価を行うのではなく,未分割の株式のすべてを取得するものとして、計算することとされています。税理士も誤りやすい論点ですので、注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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