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【経営者必見】社会保険料削減で有効な「非常勤役員の活用」を元国税が解説

中小企業において、法人税や消費税と並んだ大きな負担の一つに、社会保険料があります。社会保険料は、従業員と雇用主、労使折半で負担するとされており、従業員が多かったり支給する給与の金額が大きかったりすれば、多額の負担になります。

このため、社会保険料の削減についてよく相談を受けますが、効果的な削減方法の一つに、非常勤役員の活用があります。

非常勤役員と社会保険

役員については、法人から「労務の対償として報酬を受けている」限り、社会保険に加入する義務があるとされます。ここでいう労務の対償として報酬を受けているという要件については、年金機構の事例において、以下のような解説があります。

労務の対償として報酬を受けている法人の代表者又は役員かどうかについては、その業務が実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であり、かつ、その報酬が当該業務の対価として当該法人より経常的に支払いを受けるものであるかを基準に判断されたい

具体的な基準とは

具体的な基準としては、以下が挙げられています。

(1)法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか
(2)法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか
(3)法人の役員会等に出席しているかどうか
(4)法人の役員への連絡調整または職員に対する指揮監督に従事しているかどうか
(5)法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか
(6)法人等より支払いを受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実費弁償程度の水準にとどまっていないかどうか

実際のところ、これら6つの基準を総合勘案して判断することになる訳ですが、見る限り非常勤役員については、原則としては社会保険の被保険者にならないと考えられます。なお、非常勤という用語からは勤務時間なども問題になりそうですが、その判断の参考としては、パートタイマーの社会保険加入要件である「定労働時間が通常の労働者の4分の3以上」という4分の3要件が一つの参考になると言われています。

代表者の場合

なお、経営者を非常勤役員にして社会保険を削減しよう、という動きもあるようですが、以下とされていますので、代表者であれば非常勤役員ではなく社会保険に加入義務があるとされますので注意してください。

法人の代表者としての本来の職務は、事業所に出勤したうえでの労務の提供に限定されるものではなく、仮に不定期な出勤であっても(どこにいても)、役員への連絡や職員への指揮命令はでき、定期的な出勤がないことだけをもって被保険者資格がないという判断にはならない。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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