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消費税の計算における預り金経理の考え方を税理士が解説

消費税の計算上、預り金経理が認められるかが往々にして問題になります。具体的には、例えば弁護士が1万円の交通費を込みで自分の報酬を21万円と請求した場合(金額は両方とも消費税抜)、消費税の対象となる売上は、21万円となるか、1万円を控除した20万円となるかが問題になります。

交通費を売上とするか預り金とするか

1万円を控除するのは、それは業務遂行上必要不可欠に生じる実費であるためお客が負担するもので自分の売上ではない、という考えから来ています。このため、実費である交通費は売上ではなく、お客が実際に負担しなければならないものを預かった預り金であるとして、売上から除くことができるのではないか、このような疑問があります。

消費税は売上が小さいほど、税負担が低くなります。とりわけ、消費税は2年前の消費税が課税される売上が1千万円以下であれば、納税義務が免除されるといった規定もありますので、預り金として経理して売上から除くことが出来れば、納税者にとっては非常に都合がいいことになります。

預り金の考え方

ここで問題になる預り金ですが、考え方としては、お金を貰った者ではなく、それ以外の者が負担するべき経費に該当するか、という観点から判断します。例えば、デパートでプレゼントを買い、別途配送料をデパートに支払う場合を考えます。この配送料は、デパートではなく運送業者に購入者が支払うべきものですから、デパートが負担するべきものではありません。このため、デパートの経理上預り金として売上から除くことができます。

一方で、先の弁護士の交通費の事例については、交通費を実際に鉄道会社などにクライアントが負担した場合は別にして、弁護士が交通費を含めてクライアントから貰っている以上は、預かったお金ではないとされます。というのも、鉄道会社などからサービスを受けているのはあくまでも弁護士ですので、鉄道会社からすれば、弁護士からしか交通費をもらえず、クライアントからお金を貰うことはできないからです。

社宅の賃料は

ところで、預り金経理が認められないか、問題になることの一つに借り上げ社宅の家賃があります。会社は家主に賃料を払う一方で、その社宅に住む従業員から賃料をもらいますが、その支払賃料と預かり賃料を相殺できないか、こんな疑問があります。

先の考え方に立った場合、社宅はあくまでも転貸という考え方ですから、家主は会社にしか賃料を請求できませんので、社宅の賃料を預り金とすることはできないとされます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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