法律問題は相談LINEで解決!

HOME > 法律コラム > 仮想通貨で決済したり譲渡したときの課税関係を税理士が解説

このエントリーをはてなブックマークに追加

仮想通貨で決済したり譲渡したときの課税関係を税理士が解説

去る11月22日、国税庁から仮想通貨に関する税務のFAQが公表されました。このFAQにおいて、仮想通貨を使って商品などを購入する場合の取扱いに関し、以下と解説されています。

162000円の商品を0.3ビットコインで支払った場合

【問】
162,000 円(消費税等込)の商品を購入する際の決済に 0.3 ビットコインを支払った。なお、取引時における交換レートは1ビットコイン=540,000円であった。

【答】
上記(例)の場合の所得金額は、次の計算式のとおりです。

162,000 円
(2,000,000 円÷4ビットコイン) × 0.3 ビットコイン = 12,000 円
[商品価額]   [1ビットコイン当たりの取得価額]   [支払った数量]   [所得金額]

金銭で支払った場合には特に所得が発生しませんが、ビットコインを使った場合には所得金額が発生しますので注意したいところです。

金銭の譲渡には課税なし

税法上、お金を使っても、原則として法人税や譲渡所得税の課税はありません。一方で、お金以外の資産を譲渡すると、それがお金以外の交換であっても法人税などが課税されます。ビットコインは支払手段ではあるものの、厳密には貨幣ではないため、お金とはことなる取扱いとなっています。

時価課税の原則

ところで、税法には時価課税の原則というものがあります。これは取引は時価で行うべきとする原則であり、時価で行わない取引は、税務上は時価で行ったと取引をみなして、課税関係を調整することになっています。

このような原則が設けられているのは、税務上課税の対象になる金額は、取引の利益である所得金額だからです。課税は公平であることが原則ですし、何より税収の確保という問題もありますので、取引金額を適当に当事者で決められるとなると、課税する側は困ります。このため、時価で取引を行うべきとされているのです。

交換取引は譲渡資産の時価をまず見る

先のビットコインの例では、たまたま商品価額とビットコインの時価がイコールでしたので問題はありませんが、この時価が異なった場合、商品の時価とビットコインの時価のどちらを採用するのか問題になります。結論から申し上げると、譲渡をした資産の時価、すなわちビットコインの時価をまず採用します。

というのも、交換などの現物取引の場合、法律的にはいったん譲渡した資産を市場で売ってお金を貰い、そのお金で交換により取得する資産を購入したとみます。となると、譲渡所得の対象となる時価は、自ずと譲渡資産の時価となります。

先のFAQでは、商品価額を収入金額としていますが、正しくはありませんので注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

税務署なんて怖くない
税務署なんて怖くない
詳しくはこちら