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個人と法人で異なる減価償却。個人が確定申告で気をつけるべきこととは?

個人の確定申告の際、注意しておくべきこととして、法人の減価償却と個人の減価償却にはその取扱い上違いがあるということです。具体的には、以下の2つが大きく異なります。

1 機械などについて、原則的な減価償却の方法が定額法であること(法人は定率法)
2 減価償却費という経費の計上が強制であること(法人は任意)

定額法と定率法

定額法とは、毎期同じ金額の償却額を落とすことを言い、定率法は、毎期所定の率を乗じた金額を償却費とする方法です。定率法の方が、早いうちに償却費をたくさん計上できる反面、計算方法は複雑になります。なお、定額法は、毎期同一の償却を行いますので、計算は楽です。

このような事情がありますので、個人に比して記帳水準が相対的に高い法人については、減価償却の方法は、定率法が原則とされています。

強制償却と任意償却

次に、個人の場合、減価償却が強制されるという点が挙げられます。法人については、減価償却をして減価償却費を経費として落とすかどうかは選択に任されています。このため、銀行対策などで利益を大きくしたくない企業は、敢えて減価償却を行わずに利益をかさ上げすることもあります。

一方で、個人については減価償却が強制されるわけですから、このような利益調整はできません。

強制償却なので

ここで押さえなければならないことは、個人の場合、過去に減価償却の計算誤りなどがあった場合には、税務署に対して更正の請求をしなければならないということです。更正の請求とは、税務署に払い過ぎた税金の還付を認めてもらう手続きをいいます。

更正の請求は、税務署に払い過ぎであることをチェックしてもらう必要がありますので、税務署から何らかの調査が行われます。これをクリアする必要がありますので、負担が大きい税務調査を誘発するリスクがあります。

一方で、法人は減価償却が任意ですから、仮に過去減価償却費を計上していなかったとしても、それは法人の選択によるものですか、大きな問題にはならず、今からでも減価償却を再開することができます。

しかし、個人の場合は更正の請求という手間がかかる手続きが発生する可能性がありますから、計算には注意しておきたいところです。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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