HOME > 法律コラム > 血液型で性格判断をし不快にさせる「血液型差別」。これって慰謝料請求できるの?
血液型差別とは、血液型によって人の性格を判断し、相手を不快や不安な状態にさせる言動のこと。
本人によって選択できない遺伝情報に基づいて、人を否定的に捉えた場合には差別行為です。
これは人種差別と同様の構図です。
特定の血液型によって悪い印象をあたえることについて、峯岸孝浩弁護士に話を聞いてみました。
当然ですが,合理的な理由なく差別をすることは禁止されています。
最高法規である憲法14条1項は,「すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」と規定しています。
例えば,男女雇用機会均等法は,採用・配置・昇進など雇用上の各場面において,性別による差別を禁止しています。この法律に反して性別による差別をすれば慰謝料など損害賠償請求が可能であり,損害賠償請求を認めた裁判例は多々あります。
損害賠償請求の問題ではありませんが,最近の大きな裁判例として,非嫡出子(=法律上の婚姻関係にない男女の間から生まれた子)と嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子)の相続分に関する最高裁判例がでました。
旧民法900条4号ただし書前段は,非嫡出子の相続分を,嫡出子の相続分の2分の1と規定していました。
出生という本人にコントロールできない事情で相続に差異が生じるということです。しかしながら,この規定は平等権を定めた上記憲法14条1項に反し無効であると判断されました(最高裁判所大法廷平成25年9月4日決定)。
程度によりますが,損害賠償請求は可能だと考えます。
近年,日本でも「ブラッドタイプ・ハラスメント」として,血液型による分類が問題視されるようになってきました。
血液型による性格分類は,科学的に証明されたものではありません。したがいまして,科学的に証明されていない血液型を理由に差別をすることは許されません。
例えば,上記の通り採用・配置・昇進など雇用上の各場面において血液型によって差別をしていれば,慰謝料などの損害賠償請求は可能でしょう。
実際,厚生労働省は,採用の際に血液型を尋ねないよう企業に求めています。
もちろん,「程度」によりますので,日常会話で場を和ませるために血液型を聞くのは許されると考えます。しかしながら,もしかしたら傷つく方もいるかもしれませんので,注意するに越したことはありませんね。