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時効によって債権が消滅するならば貸倒損失も同様の理由で認められる?

民法上、消滅時効という制度があります。これは、一定期間行使できる権利を放置しておけば、その期間の経過によってその権利が消滅するという制度です。例えば、銀行などがお金を貸した場合、その債務者から返済がなくなったとします。普通は督促したり裁判を起こしたりしてお金を回収しようとしますが、仮にこのような努力をしないまま一定期間が経過してしまうと、消滅時効が完成して債務者からお金を回収できないことになります。

消滅時効は、長い間続いた事実関係を尊重するとともに、かつ債権の保全などの努力をしない者を救済する必要はないという考え方から設けられた制度です。

貸倒損失との関係

税務上、この消滅時効が問題になることの一つに、貸倒損失があります。税務上、債権が回収できない場合には、貸倒損失が認められるとされていますが、実際のところ回収できないかどうかの判断が非常に厳しく、実務では一定の場合を除き、ほとんど認められません。

認められる一定の場合の一つに、会社更生法などの規定で債権が切り捨てられるような場合が挙げられます。このような場合、債権は法律上も消滅しますので、それであれば原則として貸倒損失を認めるという取扱いになっているのです。

消滅時効についても、債権が消滅しますから同様の理屈で貸倒損失が認められないか。このような質問がよくあります。

消滅時効の完成だけでは不可

この点、参考書などを調べてみますと、消滅時効が完成しただけでは貸倒損失は認められないと解説されています。この理由として、貸倒損失の計上に当たっては、債権者側の努力や債務者の資産状況の検討が必要不可欠とされているからです。

通常、回収が出来そうにない債権については、債権者で何らかの保全をしてしかるべきです。このような努力をしていないのであれば、債務者に利益供与をしたとして、経費が制限される寄附金とされる場合があります。

次に、貸倒損失の大前提でもありますが、債務者の資産状況によっては回収できる訳ですから、このあたりを検討せずに債権が切り捨てられるとなれば、上記と同様に債権者が利益供与をしたと見ることができます。

いずれにしても、貸倒損失の計上はとても厳しいですから、債権保全の努力をしてその記録を残し、債務者にできる限り接触してその資産状況を検査するよう注意しましょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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