HOME > 法律コラム > 印紙が貼られた5万円超のレシート。経費精算するためにもう1枚必要になった場合、また印紙が必要なことはご存じですか?
契約書や領収書に貼る印紙について、大きな誤解があるのが、契約を解除した場合でも印紙が必要になる、ということです。
契約書は締結したものの、相手方に過失があったため契約を解除し、契約書は履行されなかった場合には、そもそも契約書は必要にならないはずで、となれば当然に印紙は必要にならないと考えられるところですが、そうならないところに印紙税という税金の複雑さがあります。
印紙税は、「文書の記載内容だけで課税を決定する」という性格を持っています。
このため、契約を解除すれば、実質として契約はなかったものとなりますが、その契約書においては、「◯◯円で工事を請け負う」といった事項が記載されているはずです。
工事の請負は、請負に関する契約書として印紙税の対象となりますから、請負という事項(課税事項と言います)が記載された契約書は、印紙税の対象となるのです。
となれば、実際に契約書に書かれたことが実行されたか否かを問わず、その文書は形式的には課税すべき契約書になるわけで、こうなってしまうと印紙税の対象となるわけです。
この「文書の記載内容だけで課税を決定する」というポイントから、印紙税は同じ取引について、複数の文書を作ったとしてもすべて税金がかかることとされています。
具体例を申しますと、飲食店等で5万円超のレシートを交付された後、経費精算するために別途の領収書を要求することがありますが、このような場合には同じ飲食代であるにもかかわらず、レシートも領収書も両方に印紙がかかるのです。このあたり、非常に誤解が大きいところで、税務調査においては往々にして問題になります。
「文書の記載内容だけで課税を決定する」ということは、その反対に文書に印紙税の課税事項が書かれていないものについては、実際に印紙税の課税事項となる取引を行っていたとしても、その文書に印紙税がかかることはない、ということを意味します。
例えば、コピー機の販売の際、保守も販売業者が請け負うことがあります。保守は請負ですから、契約書に「保守も請け負う」と明記すれば印紙税はかかるものの、単に「コピー機を売る」とだけ書けば、印紙税はかからないのです。
このように、あくまでも文書の記載内容だけで見るのが印紙税なのですが、となれば文書の記載内容を工夫するだけで印紙税の節税が可能になるのです。このあたり、興味があれば、税理士にご相談ください。