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軽減税率の対象となるかどうかの判断は、国税の調査官にとっても簡単ではない

軽減税率の対象になる飲食料品の譲渡について、それが飲食料品に該当するかどうかは譲渡が行われる際の目的で決まるとされています。国税庁の説明によると、輸入したまぐろの販売について、それを刺身にするなどして食品として譲渡すれば軽減税率の対象になる反面、売れ残ったまぐろについて、飼料として販売するのであれば、それは飲食料品ではありませんので軽減税率の対象にはならないと解説しています。

すなわち、売るタイミングの目的が重要になる訳で、この点記録するなどの対応が必要になります。

残した食事の持ち帰りは軽減税率の対象にはならない

上記のような取扱いになっていますので、飲食店でよくみられる、残した食事を持ち帰るような場合には、軽減税率の対象にはなりません。飲食物の提供段階では飲食というサービスを提供しており、飲食料品を譲渡したわけではないからです。

同様に意思確認も重要

目的だけでなく、意思確認も軽減税率では重要になります。よく言われる話ですが、コンビニの食品について、コンビニのイートインスペースで食べるか、それとも持ち帰るのか、顧客の意思を適宜確認する必要があると解説されています。前者は標準税率、後者は軽減税率になる訳ですが、その線引きは意思確認にあると言われる訳です。

この点、逐一聞くとなると大きな手間になりますので、顧客から別途申し出る旨の掲示を行って意思確認するなどの方法も認められると解説されています。

飲食場所でない旨の表示も有効とされるが

ところで、イートインスペースの取扱いの真逆ですが、実際に飲食に使えそうな休憩スペースがあるスーパーマーケットについて、逐一意思確認を取ると大変ですから、「飲食のご利用はお控え下さい」という掲示を行って、飲食スペースがないとして、全部軽減税率の対象にすることも認められるという解説があります。ただし、この取扱いについては、実態として飲食に利用されているのであれば、軽減税率の対象にはしないと解説されています。

目的や意思確認はチェックが難しい

このように聞くと、手間はかかるがシンプルな仕組みと思われる方もいらっしゃると思いますが、税務調査を行う国税の側からは、いろいろと問題になります。目的にしても意思確認しても目に見えるものではない、あいまいなもので課税の根拠とするのが難しいからです。

税務調査の検証が難しく、国税の調査官にはかなり大きな負担がかかると考えられます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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