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非上場株式の評価で見落としがちな営業権は医療法人の出資の評価ではどうなる?

相続税において、非上場株式を評価する際、評価会社の資産と負債の差額である純資産をベースに計算する純資産価額方式で計算することがあります。この純資産価額方式の計算で、多くの税理士が処理を失念しているものが営業権です。

外部から購入するような場合を除き、営業権は会社の決算書には軽序されませんが、純資産価額方式を使う場合には、会社の決算書に計上されているかどうかを問わず、原則として計算に含める必要があるとされています

具体的には?

決算書に営業権は計上されないことが多いため、失念してしまうことが多い訳です。ただし、相続税の計算上、過去三年の平均利益金額として一定の金額が5000万円以下であれば、営業権の評価額は零になるとされています。このため、コンスタントに5000万円超えの利益を計上する場合に注意することすれば原則として問題ありません。

反面、非上場会社の株価評価が問題になるのは、原則として相当な利益を計上しているオーナー企業ですので、チェックはきちんと行う必要があります。

医療法人の出資の評価

ところで、非上場会社の株式と同様、相続税の評価額が問題になる財産の一つに、医療法人の出資があります。医療法人の出資は、原則として非上場会社の株式に準じて評価することとされていますので、純資産価額方式などで計算することになります。

ここで注意したいのは、医療法人の出資の評価については、純資産価額方式を使う場合においても、営業権を評価する必要がないとされていることです。

営業権を評価しなくていい理由

この理由は、営業権が法人の超過収益力を意味する、とされているからです。会社の場合、オーナーが変わっても、会社が残した信用やノウハウは継続すると考えられています。一方で、医療法人の場合、医師という個人の資格に基づいた法人ですので、その個人が退職するなどしていなくなればその超過収益力はなくなるという取扱いになっています、このため、法人に超過収益力もなく、営業権は計上されないという理屈なのです。

個人の資格は原則同様

この取扱いは、医師だけではなく、税理士や弁護士などついても同様です。個人の資格をベースにする事業については、原則として営業権を認識する必要はありませんので、評価の際は注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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