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控除対象外消費税の処理やその他注意事項を元国税の税理士が解説

前回、消費税の処理として、税抜経理と税込経理があると解説しましたが、税抜経理を採用している場合、控除対象外消費税が生じることがあります。文字通り、これは消費税の計算上控除できない消費税を意味する訳ですが、これが生じる大きな理由の一つに、課税売上割合という割合の影響があります。

詳細は割愛しますが、消費税の計算上、毎期課税売上割合を計算する必要があります。その割合が一定割合を下回るような場合、経費の支出や設備投資の際、負担した消費税の控除が制限されます。制限される結果、控除できない部分が控除対象外消費税になります。

控除対象外消費税の処理

控除対象外消費税ですが、法人税ではそれを発生する原因に分けて大きく二つに区分して取扱いが決められています。一つは、経費についての控除対象外消費税であり、もう一つは資産についての控除対象外消費税です。

経費の控除対象外消費税は、原則として損失として経理することができます。ただし、交際費について発生した部分については、経費として認められる交際費の限度額計算(年800万円まで)に含める必要があります。

資産の控除対象外消費税は

資産の控除対象外消費税の処理は、少し複雑です。まず、これを棚卸資産について発生したものと、固定資産などのそれ以外の資産について発生したものに区分します。

前者については、経費の控除対象外消費税と同様に、その全額を損失として経理できます。一方で、後者については、それが20万円未満であれば一括で損失処理ができるものの、20万円を超えると損失処理ができない場合があります。

具体的には、棚卸資産以外の資産の控除対象外消費税で、その金額が20万円を超え、更にその発生した事業年度の課税売上割合が80%未満の場合には、一括で損失処理が出来ず、数年間に渡り経費として処理する必要があります。

このような控除対象外消費税を、繰延消費税額等と言います。

繰延消費税額等の処理

この繰延消費税額等について、各事業年度(1年間を前提)で経費とできる金額は以下の通りです。このため、6年間に渡り経費処理することになります。

1 発生した初年度(=資産を取得した年度)
繰延消費税額等の金額×12月/60月×1/2

2 それ以外の年度
繰延消費税額等の金額×12月/60月

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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