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相続人からの借金が債務控除として認められる為の大事な3つ(松嶋洋)

前回説明した債務控除ですが、子が親にお金を貸している場合を除くといった規定がありませんので、相続人に対する借金についても債務控除として認められます。

しかし、こうなると租税回避につながる可能性がありますので、税務調査では厳しくチェックされます。このため、予め税務調査を踏まえた対策をとって申告する必要があります。

親族間の債務控除のチェックポイント

親族間の貸し借りについて債務控除を受ける場合、国税からは以下のようなポイントをチェックされることが通例です。

(1) 金銭消費貸借契約書はあるか
民法上、契約は口約束でも成立しますが、銀行から借金する場合などには、後日のトラブルを避けるために確実に金銭消費貸借契約書を結びます。
親族間だから結ばないことが通例ですが、契約書がなければ、「契約書がないなんておかしい」と指摘される可能性があります。

(2)返済の実績はあるか
銀行などから借金をすれば、リスケをするような場合を除き、元本を据え置いてあるとき払いにする、といったことはないはずです。
借金であればいつかは返すべきものですので、できることなら返済表を作り、少しずつでも返済の実績を残すべきでしょう。

(3)利息の計上
無利息貸付けが行われることもありますので、利息を取っていないからといって即どうなるわけでもありませんが、借金であることを証明するためには、利息も支払っている、という実績があった方が望ましいでしょう。

実務では、これらのポイントを総合的に見て、債務控除として認められるかどうかが決定されます。

債務控除の立証は国税

ところで、債務控除に関する税務調査対策で押さえておくべきポイントとしては、債務控除を税務署が否認する場合、債務に該当しないことを国税が立証しなければならない、ということです。立証責任は国にあるわけですから、借金に該当することを納税者が積極的に証明する必要はありません。

このため、仮に借用書がないとしても、借りていないことについては国税が立証する必要があります。この点、契約書がなくても、債務控除として認められた事例があります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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