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税務署「便利なe-taxを使いましょう!」ーーこんな宣伝してるけど、実は税務署が最も得している?

本コラムでも取り上げましたが、消費税の計算上、所定の届出書を提出しているか否かで大きく税額が変わることがあります。この届出書のトラブルとして、最も多いものの一つに、提出期限の誤りがあります。

消費税の届出書は、原則としてその適用を受けようとする年度の初日の前日までに提出する必要がありますが、申告書の提出期限などとは異なり、提出期限が土日祝日であっても次の営業日まで延長されることはありません。

提出期限を誤ると損害賠償にまで発展することもあるのに、税務署が告知する提出期限が少々不案内

このあたり、税理士の中では損害賠償事件に発展するものも多いですから、ケアレスミスはかなり減っているという印象がありますが、困ったことに、現在国税が推進しているe-taxの関係で、逆にケアレスミスが発生するリスクが大きくなっています。

具体的には、12月決算の法人や個人の消費税についてです。この場合、12月31日までに届出を提出しなければなりませんが、e-taxについては、12月31日まで稼動しておらず、昨年は12月26日までしか受付ができませんでした。

e-taxは税務署の都合に関係なく、自宅で手軽に手続ができる、という売りがあるところ、税務署の都合で12月31日まで稼動していないのであれば、次の稼動時期(1月4日以降)にe-taxで届出書を出せばいい、と誤解するケースもあったようです。

しかし税務署に責任を問うことは難しい

このあたり、常識としては納得できないところですが、法律上税務署は12月29日~1月3日まで閉庁日であることから、e-taxのメンテナンスもできませんので、責任を問うことは難しいと思われます。

実際のところ、年末年始は稼動していないことをe-taxのホームページでは明確にうたっていますので、この点からもe-taxが動いていないことの責任を問うことは難しいでしょう。

e-taxがあるから便利、という考えは誤ってはいませんが、e-taxを信用しすぎるとこのような落とし穴があるので注意したいところです。

e-taxの恩恵を最も受けているのは納税者ではなく、実は税務署だった!

e-taxは便利と宣伝されていますが、最もメリットを受けるのは、申告書等の情報をKSKという国税のシステムに入力する手間が大いに省ける税務署です。

納税者だけにメリットがある制度であれば、厳格な対応をすることも合理的と思われますが、国税にとっても都合がいい制度であるところ、もう少し柔軟な制度も必要かと考えます。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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