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【未払賃金】弁護士を悩ます、最も残業代請求がやりにくい会社とは?!

近年、勤怠管理はインターネットを通して行われるようになり、個人情報保護の徹底とともに、自分自身の勤怠データすら持ち出すことが難しくなっている。
ではもしも、そんなケースで残業代請求をしようとする場合、どうすればいいのだろうか。
以前、「残業代請求にメモは効果的か?」と題したコラムを更新した。そこで峯岸孝浩弁護士は、毎日の出退勤の時間だけでなく、どんな業務を行っていたのかなどの詳細も合わせて書き残しておくことで証明力が高まると話していた。
これ以外に、勤怠データの持ち出しが難しいケースではどうすればいいのかを再度、峯岸孝浩弁護士に伺ってみた。

同僚から証言を得るのは?勤怠データを撮影は盗撮?

では早速、情報の管理が徹底している会社で残業代請求する場合、例えば同僚に証言してもらうようにお願いするというのはどうだろうか。

「同僚が出退勤時刻を証言してくれればよいのですが、会社に所属している立場ですから実際には証言をしてくれないと思われます」(峯岸孝浩弁護士)

勤怠データの持ち出しは出来なくとも、例えばそのデータを撮影して、保存しておくのはどうだろうか。盗撮にあたるのだろうか。

「残業代請求のためという正当な目的であれば、証拠を撮影しても違法ではありません。会社の機密情報を撮影した画像を不正な目的で外部に漏洩すれば不正競争防止法に違反することがありますが、残業代請求のために必要な部分を撮影するのであれば問題ないでしょう」(峯岸孝浩弁護士)

そもそも勤怠データを要求することも可能!

これまで様々な方法で伺って来たが、そもそも勤怠データを開示してもらうように要求することは可能なのだろうか。

「裁判において、会社に対してタイムカードなど出退勤時刻が記載されている証拠の提出を求めることができます。会社が証拠を隠す可能性がないとはいえませんが、裁判所からも会社に対し証拠の提出を促しますので、会社が証拠を提出してくる可能性は十分あります」(峯岸孝浩弁護士)

これは非常に有力な手段ではないだろうか。ちなみに開示の要求は自分一人でも可能だ。受け付けてくれないなら、労基署や弁護士を通すことも選択肢になるだろう。更にそこでも開示してくれないなら、峯岸孝浩弁護士の言うように、訴訟や労働審判を提起し、裁判官から要求してもらうことになるだろう。

勤怠を管理していない会社が最も残業代請求がやりにくい

「最後になりますが、残業代請求においてもっともやりにくいのは、会社が出退勤時刻を全く管理していない場合です。出退勤時刻に関する証拠がないため、上記の通りメモなどで立証するしかありません。残業代請求の場合、出退勤時刻を管理している会社よりも、出退勤時刻を管理していない杜撰な会社の方が結果的には得をしてしまうことがありますので、おかしな話ですね」(峯岸孝浩弁護士)

なんという矛盾だろうか。もしも未払の残業代請求を検討している方は、この点気をつけてのぞんでいただきたい。

取材協力弁護士  峯岸孝浩 事務所HP Blog
埼玉弁護士会所属。武蔵浦和法律事務所代表。埼玉弁護士会執行部 調査局長。市民の相談から地元企業の相談まで幅広く対応し,地域に密着した活動を続け日々奮闘中。

ライター 大田タケル Twitter Blog