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贈与で相続対策するなら絶対に検討するべき「相続時精算課税」のメリットとは?!

前回、相続時精算課税のメリットとして、価格が固定されることを申しました。この意味ですが、相続時精算課税の適用を受けて、相続税の課税財産に加算される金額は、贈与財産の贈与時点の時価となる、ということです。

具体例として、贈与時の時価が100万円の株式を相続時精算課税で子供に贈与した場合を考えてみましょう。この株式は、贈与時点では100万円ですが、大きく値上がりし、相続時には1,000万円になったとします。相続時精算課税の結果、相続税の課税財産に加算される金額は、相続時の時価1,000万円ではなく、贈与時の時価である100万円となります。

この点を踏まえると、将来値上がりが見込まれる財産は、相続時精算課税を使うことで安く子供に移転することが可能になります。暦年課税では、一度に財産を移転することは難しいですが、相続時精算課税であれば、2,500万円まで無税で移転することができます。

親和性が特に大きいのは現金!

とりわけ、現金を贈与すると、このメリットは大きくなります。相続税の納税のため、資産運用などで現金を作る必要がありますが、資産運用するには当然に元手が必要になります。子には元手が十分ではないことが多いため、現実問題としては親が資産運用するケースがほとんどですが、親が資産運用して資産を大きくすれば、その分相続税がたくさんかかります。

一方で、現金を子供に相続時精算課税で贈与させ、子供に資産運用をさせるとすれば、価格が固定されますので、資産運用して大きくした金額(贈与した現金の値上がり部分)に相続税はかかりません。このため、例えば両親から2,500万円ずつ贈与させ、5,000万円の元手を作り、それを大きくすることで納税資金に充てる、といった戦略をとることができます。資産運用に失敗してしまうと元も子もありませんが、一考の余地はあります。

収益不動産も有効

現金と同じ理屈で、親が有する収益不動産を子に贈与しても大きな効果があります。贈与してしまえば、収益不動産から得られる家賃は、親の財産とならず、子の収益となりますので、納税資金を作ることが可能になります。

ただし、相続時精算課税で贈与した宅地については、小規模宅地等の特例が使えません。収益不動産については、小規模宅地等の特例により、50%の評価減がありますので、この点についても考慮する必要があります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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