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想定外の増収増益で嬉しい半面、法人税の負担も増…こんな時の節税対策は決算期変更!

前回、想定外の利益が出る場合には、決算賞与が有効な節税となると解説しましたが、決算賞与はいわゆるお金がかかる節税でもあります。

節税できても、従業員にお金を払うため手元にお金が残らない、といった問題が生じますが、お金を残す節税として、決算期変更を行う、というやり方もあります。

決算期変更の使い方

例えば、12月決算の会社が、平成27年11月に1億円程度の大きな売上が見込まれる、というケースについて考えてみましょう。通常、この1億円は平成27年12月決算の際に課税されますが、仮に決算期を10月に変更すれば、この1億円は平成27年10月の決算では課税されず、翌期の平成28年10月期に課税されます。

このため、大口の売上が見込まれる場合、敢えて決算期を変えることで課税されるタイミングを遅らせることができるのです。何より、タイミングを遅らせることができれば、役員報酬を増額させるなどして余裕をもって節税を考えることもできます。

決算期変更の手続き

この決算期変更ですが、手続きも難しくはありません。具体的には、下記のとおりで登記も不要です。

(1)臨時株主総会を開催し、定款を変更する
(2)変更した定款を添付した届出書を税務署に提出する

業務の都合上、決算期を変える会社は少なくありませんから、このような届出書について税務署は基本的に問題にはしません。税務署としては節税されると面白くはありませんが、決算期を変えたことを問題にした、という事例は耳にしたことがありませんし、インターネット上も「決算期変更は有効な節税」と説明されていることがほとんどです。

毎年毎年決算期を変える、といった露骨にわざとらしいことをしない限り、原則としては問題にならないと思われます。

デメリットは申告回数

決算期変更は簡単な手続きでできますが、デメリットとしては、決算期を変えた段階で、申告をする必要がある、ということです。先の例でいえば、10月決算に切り替えていますので、事業年度は10か月しかありませんが、平成27年10月期の申告を、申告期限(原則として決算日から二か月以内)に行う必要があります。

決算は非常に大きな手間がかかるところ、事業年度を変えるとなると、その分余計な負担は増えますから、決算期変更は簡単にできるものの、慎重に行うべきと考えられます。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

photo by Manuel Bahamondez H

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