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所有権移転外ファイナンス・リース取引の消費税の3つの処理方法と注意事項

前回、実務上ファイナンス・リース取引が問題になるのは、法人税ではなく消費税であると述べました。これは所有権移転外についても同様です。

しかしここで注意が必要となるのは、その処理方法です。なぜならそれによって大きく税負担が変わるからです。

消費税の処理は3パターン

所有権移転外ファイナンス・リース取引の消費税の処理は、以下の3つが認められています。

(1)買ったこととして処理する方法
(2)経理上賃貸借として処理し、消費税も賃貸借として処理する方法
(3)経理上は賃貸借としているものの、消費税では買ったこととして処理する方法

消費税で賃貸借として処理するためには、賃貸借として経理する必要がありますが、経理上賃貸借としても、消費税の計算では資産を買ったとして処理することもできます。

買ったことと借りたことの違い

消費税では、買った場合と借りた場合で消費税額が大きく変わります。具体例を挙げて説明しますが、例えば一年60万円で5年のリース資産をリースした場合、買った場合には300万円(60万円×5年)の経費がリース段階で消費税の経費として認められます。

一方で、借りた場合には、60万円ずつ5年間に渡って消費税の経費とすることになります。つまり、買ったという処理をした場合は一括で経費になり、借りたという処理をした場合には、分割で経費となるという違いがあるのです。

法人税では問題になりませんが、消費税では経費になるタイミングが処理方法によって変わることになります。

免税事業者などは要注意

ここで注意したいことは、消費税では、消費税が免除される事業年度がある、ということです。原則として、二年前の売上が1千万円以下であれば消費税は免除されますが、その免除された期間において支出した経費は、消費税の経費とすることができません。

このため、免除された期間においてリースしたものについて、購入したという処理をした場合にはその全額が経費になりません。一方で、賃貸借として処理した場合には、免除された年度に支払うものは経費にできませんが、将来課税される事業年度において支払うものは経費にすることができます。

反対に、将来免税となることが分かっていれば、買ったという処理をしておかないと、その免税となる期間において支払うリース料は、消費税の経費になりませんので、損をしてしまいます。

後日修正はできない

少し難しい話で申し訳ありませんが、このあたりの処理を失念する税理士もいますので、リース取引を行う場合には、早いうちに税理士に相談してください。

困ったことに、買ったという処理をするか、借りるという処理をするか、いったん決めてしまえば後日修正することはできません。ミスが許されないため、慎重な対応が必要になります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

photo by Rental Realities

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