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【経営者必読】死亡退職時の節税対策「弔慰金と退職金の支給」の注意点とは

死亡退職の際支出される弔慰金ですが、忘れてはいけないことの一つに、弔慰金は退職金ではない、ということがあります。弔慰金は死亡退職の際に支出しますが、それは退職金ではなく福利厚生費の一つとされますので、適正額という範囲内ではあるものの、原則として経費になるのです。

退職金規定などに弔慰金の支給基準を定めることが通例ですので忘れがちですが、この点注意しておく必要があります。

過去に経理処理を誤り否認になったケースもあった

退職金ではない、ということは実は税理士でもよく忘れがちです。実際のところ、弔慰金と退職金の両方の支出をする会社の経理処理について、本来は弔慰金(福利厚生費)と退職金を分けて経理すべきであるにもかかわらず、退職金という科目のみで経理する例が非常に多いと言われています。

この点、経理処理が退職金となっていた、という事実関係から、弔慰金として支給した金額はなく、全額が死亡退職金であり弔慰金部分は過大役員退職金として経費にならない、と判断された事例もあります。

後の裁判では認められたが、問題視されることを避けるためにも経理は分けるべき

ただし、この事例については、後日の裁判で弔慰金と退職金を区分せずに経理したとしても、実態としてその内容が分かるのであれば、弔慰金として取り扱っていい、とされています。このため、万一忘れてしまった場合には、このような主張をして税務署に弔慰金として認めてもらうように交渉することは十分に可能です。

しかしながら、税務署から問題視されることだけでも会社にとっては大きなリスクですので、弔慰金を支給する場合は、経理はやはり分けておいた方がいいでしょう。

なお、前回も申し上げましたが、株主総会の決議や退職金規定の整備は、弔慰金を支給する場合には必須になります。

手前勝手なスタンスの税務署

実際のところ、税については「実質に応じて課税する」という考え方があります。このため、本来は実質を見ればいいと結論付けられますが、困ったことに税務署はこの考えを自分の都合のいいように解釈しています。

具体的には、形式的な証拠が税務署に有利な内容であれば、それを真実とし、不利な内容であれば実質は違うから形式的な証拠は関係ない、といった話をする傾向があるのです。

税務署に有利な内容の証拠だけは決して残さないよう、きちんと経理は分けておくべきでしょう。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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