HOME > 法律コラム > スマホで領収書の保管が可能になったスキャナ保存法の要件は?(松嶋洋)
前回も申し上げた通り、スキャナ保存については、平成27年度税制改正で大きく緩和されましたが、平成28年度税制改正においても、引き続き大きな規制緩和がなされています。
その典型として、領収書などのスキャナ保存について、デジタルカメラやスマートフォン等による撮影も可能とされた改正があります。
従来は、スキャナ装置について、原稿台と一体となったものに限定することとされていましたので、デジタルカメラやスマートフォンなど、持ち運び可能な装置は対象にならないとされていました。
しかし、今後はこれらでスキャンすることができますので、領収証を受領した者はスマホの写真機能を使って、いつでも、どこでも、電子化して社内のパソコン等に転送し経費精算をするなどといったことも可能となると言われています。
いつでもどこでも電子化できるとなると、改ざんが容易になりますから、契約書や領収書を受領した場合、その受領等をする者がその書類に署名を行った上で、特に速やか(3日以内)にタイムスタンプを付すことが、スキャナ保存の承認の要件とされます。
スキャナ保存の要件緩和に対する規制の強化として、平成27年度税制改正ではスキャナ保存を会社で適正に行うための措置として、適正事務処理要件が承認の要件とされていますが、小規模な会社では、その要件を満たすことが困難であるため、一部規制が緩和されることとされています。
この改正により、小規模企業者(常時使用する従業員数が5人以下(製造業等であれば20人以下)の小規模企業者)については、税理士に定期的なチェックを依頼するなどして、円滑に適正事務処理要件をクリアすることが可能になるなど、従来は大企業しか適用していなかったスキャナ保存について中小企業も適用しやすくなり、非常に利用しやすい制度になっています。
詳細はこちらをご参照下さい。
これらの平成28年度税制改正によるスキャナ保存の要件緩和は、平成28年9月30日以後に行う承認申請から適用されるとされています。
現状、制度のアウトラインが公表されているだけで、詳細は今後国税庁から公表されると考えられますから、国税庁のホームページなどもご確認ください。
●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。