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グループ法人税制から外れる方法とその注意点を税理士が解説

前回、グループ法人税制の適用対象となる、100%の支配関係がある法人間で一定の資産を譲渡しても、含み損が使えないという制限がある、と解説しました。このため、含み損を活用するためには、原則としてグループ法人税制から外れる必要があります。

この外れ方は簡単で、100%の支配関係がある場合が対象になりますから、1%でも他人に持たせれば原則としてクリアすることができます。ただし、ここで問題になるのは、他人に自社の株式を持たせるのは大きなリスクになる、ということです。他人に株を少数でももたれれば、株価を高い値段で買い取るような請求を受けるなど、事業経営上問題が生じます。

このため、持たせる方法が重要になります。この場合、一番いいのは一般社団法人と言われます。

一般社団法人を作ればクリアできる

100%会社を支配しているオーナーが、一般社団法人を作って自社株を一部持たせると、原則として100%の支配関係から外れることができます。なぜなら、一般社団法人は株式を発行しない法人だからです。株式を発行しない以上、オーナーが一般社団法人を作っても、そのオーナーと一般社団法人は税務上原則として他人と見られます。

一般社団法人はその役員である理事が経営方針を決めますから、理事をオーナー一族で固めれば、実質的に支配を継続することができます。このため、一部株式を一般社団法人に持たせても、大きな問題にはなりません。

なお、一般社団法人が100%の株式を持ってしまうと、一般社団法人が会社を支配しているということになりますから、グループ法人税制が適用されることになりますので、注意が必要です。

合理性がないと否認されることがある

一般社団法人を作れば理論的には問題なくグループ法人税制の適用から逃れることができますが、注意点として、一般社団法人に株式を持たせる合理性がないと、租税回避として国税からその節税を否認されることがあります。

以前、会社の従業員に株式を一部持たせ、グループ法人税制の適用から逃れた節税を否認された事例がありました。ここでは、従業員に株式を持たせる合理性がないことが問題視されています。

このため、適用する場合には、合理性を持たせるとともに、専門家である税理士のサポートを受ける必要があります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。税務調査で望ましい結果を得るための法律論・交渉術に関する無料メルマガを提供中

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