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節税対策として増加している海外不動産投資の3つのリスクを税理士が解説

前回も申し上げた通り、現在、富裕層を中心に、海外不動産を使った節税がかなり流行していると聞きますが、このような節税については当然ながら税務リスクもあります。まず押さえたいのが、国税の税務調査が厳しく行われているということです。

(1)「税務調査に入られる可能性が高くなる」というリスク

近年の傾向として、国際取引及び富裕層に対しては国税が厳しい税務調査を行っていますが、海外不動産投資はこの両方の要件を満たすものです。もちろん、海外不動産に投資していても、それは合法的な節税ですのでそれだけでは問題になりませんが、税務調査に入られるリスクは大きいと言われていますので、注意はしておく必要があります。

何より、合法とはいってもそれは現在の状況です。国税は行き過ぎた節税に対しては税制改正により封じ込めを図っていますので、今後の政治状況によってはこのような節税を防止するための税制改正が実現する可能性がありますから、改正の動向を押さえておく必要もあります。

(2)海外不動産を売却する時のリスク

次に問題になるのは、投資した海外不動産の出口戦略、すなわち海外不動産を売却する時の税金です。海外不動産投資は早い段階で減価償却費を計上できることにメリットがある訳ですが、減価償却費を早い段階で計上できるということは、譲渡所得の計算上不利になることを押さえておく必要があります。譲渡所得は、原則として以下の算式で計算されます。

(譲渡収入)-(譲渡した資産の取得費)-(譲渡費用)

このうち、譲渡した資産の取得費については、その資産が不動産投資などに使われるものについては、以下と計算されます。

(譲渡した資産の購入金額)-(経費とした減価償却費)

すなわち、減価償却費をたくさん計上すればするほど、取得費が小さくなりますので譲渡所得が大きくなるのです。このため、売却時に大きな税金がかかる、というリスクが生じますので、売却するタイミングなどについてもよく検討しておく必要があります。

(3)「不動産投資」そのものがそもそものリスク

何より、海外不動産投資も不動産投資ですので、不動産投資にあるような修繕リスクや空室リスクも大きいと言われています。とりわけ、中古の不動産を購入することから、修繕費は多額にかかると言われています。

単に節税だけでなく、このようなリスクも発生しますので、慎重な対応が必要と考えれます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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