HOME > 法律コラム > 実は知られていない「逮捕」されたその直後。家族とはいつ会えるの?弁護士はどうすればいいの?
テレビドラマでは良く見かける「逮捕」。
そもそもこの「逮捕」とは被疑者の逃亡と、証拠の隠滅を防ぐ目的で行われます。
被疑者とは、ある犯罪を犯した、と疑いをかけられ、まだ起訴されていない状態を指します。つまりこの状態では疑いがあるだけで、推定無罪の原則からも、被疑者=犯人ではありません。しかしこれが起訴されると、その呼び名は「被告」に変わり、裁判を通して刑事上の事実認定や法上の取り扱いにおいて有罪(実刑・執行猶予)か無罪(釈放)が決まることになります。
上記の通り、逮捕された後からの大まかな流れは理解していたとしても、例えば逮捕直後、家族にいつ会えるのか?弁護士はどうするべきか?といった詳細に詳しい方は多くないでしょう。
今回は逮捕された直後の流れについて、荻原邦夫弁護士に話を聞いてみました。
それではまず逮捕された直後について、例えば頼れるような友人や家族がいない場合どうなるのか教えてください。
『逮捕をされると、約3日間、基本的に家族や知人、友人と会えなくなります。逮捕された人と会って話ができるのは、弁護士だけになります』(荻原邦夫弁護士)
3日間は誰とも会えないのですね。ではまずどうするべきでしょうか。
『まずは弁護士と話をして、今後の方針を検討することが大切です。弁護士は、あなたが逮捕されたことはわかりませんから、警察官に対して、弁護士を呼んで欲しいと伝えることになります』(荻原邦夫弁護士)
『既に事件について依頼をしている弁護士がいる場合には、警察にその弁護士の名前と連絡先を伝えて、連絡をしてもらいます。特定の弁護士がいない場合には、各弁護士会に連絡してもらい、当番弁護士を派遣してもらうことができます。当番弁護士とは、各地の弁護士会が運営主体となり、初回の接見のみ無料で対応する弁護士です』(荻原邦夫弁護士)
ご存じの方も多いかと思いますが、特定の弁護士がいない場合には国選弁護制度を利用することが出来ます。
それでは逮捕後、勾留された後はどうなるのでしょうか。
『上述した通り、逮捕されると多くの場合、約3日間弁護士以外と会うことができなくなります。その後、勾留されてしまうと、身体拘束はさらに継続します』(荻原邦夫弁護士)
勾留中は家族などに会えるのでしょうか。
『勾留された場合、家族などは、拘置所や留置施設で面会することができますが、面会できる時間は平日に1日15分程度ですし、拘置所職員や警察官が同席しますので、十分に話すことはできないでしょう』(荻原邦夫弁護士)
『また、逮捕後の勾留中も、弁護士以外の人との面会を禁止されることもあります。この場合、弁護士だけが外部との唯一の接点になります』(荻原邦夫弁護士)
そもそも面会すら禁止されることもあるという勾留。仮に会えたとしても平日に限り、1日15分程度とのこと。
面会を禁止された勾留となると、家族との満足な意思疎通は図れません。仮に面会が許されていたとしても会える時間は限られています。起訴されるかどうかや、その後の方針については、やはり弁護士の存在が重要ということでしょうか。
『勾留されたまま起訴されるか、起訴されずに釈放されるかは、事件の内容によりますし、家族の方や弁護士の活動によっても変わってくることがあります。依頼をした弁護士と十分に話し合って欲しいと思います』(荻原邦夫弁護士)
※国選弁護人について触れた記事(国選弁護制度の解説とメリットとデメリット)
今回、荻原邦夫弁護士に逮捕後の流れと、その対応について伺いました。これを読んだ方はきっと逮捕されるという事自体、出来る限り避けたいと考えているでしょう。しかし、いざというときのために、また貴方の大切な人が、もしも逮捕されたら?という時のために、決して知っておいて損にはならないでしょう。