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関係会社との取引に多いですが、債務超過の関係会社に対する貸付金などについて、回収の見込みがないことから債務免除を行う、ということがあります。この債務免除ですが、債務という負担を軽減されたという利益がありますので、その債務免除益に対しては、収益として法人税の対象になります。
問題になるのは、債務免除益について、いつ収益として計上するかということです。債務免除益についても収益には変わりませんので、大原則である権利確定主義に従って計上すべき時期を決定することになります。

民法上、時効という制度があります。これは、ある事実が一定期間が経過したことをもって、その事実が法律上有効になるという制度を言います。いつまでたっても法律上の効果が確定しないと、取引が不安定になることからこの制度が設けられており、時効には大きく分けて取得時効と消滅時効があります。
取得時効とは、一定期間の経過によって法律上の権利を与えるものをいい、例えば不動産を所定の期間占有していれば、その占有者が取得時効によって不動産を取得できることになります。
一方で、消滅時効とは、一定期間の経過によって法律上の権利が消滅するものをいい、例えば売掛金の回収をせず所定の期間放っておけば、その回収が消滅時効によって不可能になることになります。

平成28年度改正により、空き家問題の解決のため、所定の空き家を譲渡した場合には、居住用財産の特別控除と同様に、3000万円の控除が受けられることになりました。居住用財産の特別控除は、譲渡する者が実際に居住の用に供している物件が対象になりますが、この制度は、実際に譲渡する者が居住している必要はなく、相続などで取得した物件が対象になります。この控除は、居住用財産の特別控除と併用することも可能です。詳細はこちら(PDF)をご参照下さい。

日本の大きな問題の一つに、空き家問題があります。少子高齢化によって実家を引き継ぐ子供が減少した結果、地方にある実家が誰も管理しない空き家になってしまう、という問題が近年多数発生しています。空き家が増えれば、その分環境問題や犯罪の温床になる可能性も指摘できるわけで、早急に解決しなければならない問題と言えます。
この問題について、腰の重い政府も対策を講じており、所定の空き家について、固定資産税の大幅増税がスタートしています。

法人の節税の王道として、福利厚生としての社員旅行があります。社員旅行については、以下の要件を満たす限り、福利厚生費として法人の経費になります。
(1)旅行の期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること(工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加すること)
この要件を満たしていれば問題ありませんが、要件を満たさないとなると、福利厚生費ではなく、その支出金額が社員等に対するお給料として課税されます。その要件の判断について、問題になる例をいくつか紹介します。

会社の節税を考える際、真っ先に税理士が提案することの一つに、社長の自宅を社宅にすることがあります。社長の自宅を社宅にすれば、社長の自宅に係る家賃を法人の経費とすることができる一方で、社長から会社からもらうべき家賃は相場に照らして極めて少額になることが通例だからです。
この節税は広く行われていますが、注意点として、このような節税が許される理由は、それが会社にとって福利厚生費に該当するからです。

不動産所得を業務的規模と事業的規模に区分する場合、以下のいずれかに該当すれば事業的規模になる、という5棟10室基準によります。

(1)貸間、アパート等については、貸与できる室数がおおむね10室以上であること。
(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

部屋数や棟数で見ることになるわけですが、貸室と貸家の両方を持っている場合など、その判断に疑問があります。この場合、概ねの判断ですが、貸室2部屋を1棟と見るとされています。このため、例えばアパート1棟(7室)、貸家2棟の場合、以下のように事業的規模と判断します。

7室+2棟✕2(室)=11室>10室

個人の不動産オーナーは、その不動産から得る賃料について申告する場合、不動産所得として申告を行います。所得税は所得が発生する原因に応じて所得を区分しており、例えば役員報酬や会社からもらうお給料は給与所得、個人事業から得る収入は事業所得に該当するとされています。
所得の区分が重要になるのは、それぞれの所得について異なる計算が必要になるからです。例えば、給与所得は経費の計算を給与所得控除という概算で計算しますが、事業所得であれば実際に払った事業に関する経費を集計して計算します。
不動産所得についても、事業所得と同様に、実際に支払った不動産業務に関する経費を経費として計算しますが、事業所得と異なり、事業的規模と業務的規模という区分も行い、それぞれについて異なる計算が必要になります。

平均功績倍率法によって役員退職金の適正額を計算することが通例ですが、この時によく問題になるのが、一時的な資金繰りや経営状況の都合によって、退任時に退職する役員の月額報酬を下げている場合があることです。
平均功績倍率法は、退任時の月額報酬にその役員の功績の度合いが最も反映されているということを前提とする、いわば年功序列的な考えで仕組みが設けられています。このため、上記のような一時的な理由による減額があれば、その役員の功績を反映しているとは言い難いため、適正と認められる過去の報酬月額、例えば最高報酬月額で計算できるかどうかが問題になります。

税務調査で問題になる役員退職金については、適正額を超えない場合、経費になります。この適正額については、以下の平均功績倍率法で算定されることが通例です。
役員退職金の適正額=最終報酬月額×勤続年数×平均功績倍率
上記の計算中、平均功績倍率がいくらになるかが問題になりますが、退職者が社長であれば、原則として3.0倍の平均功績倍率で計算できるという神話があります。このため、多くの中小企業で3.0倍の平均功績倍率を計算していることが通例ですが、この考えは非常に危険と言われていますので、注意してください。

納期の特例を受けている会社と、それ以外の会社では、源泉所得税に対するペナルティーである不納付加算税の計算が異なります。不納付加算税は、納期限までに納付すべき源泉所得税を納付していなかったり、税務調査で源泉所得税の計算ミスが発見されたりした場合に課税されますが、この計算は納期限ごとに行うこととされています。納期限ごとの計算ですので、以下のような相違があります。

お給料から天引きされる源泉所得税については、それを徴収する会社が、給料を支払った月の翌月10日までに税務署に納税しなければならないとされています。しかし、こうなると中小企業にとっては大変になりますので、1月~6月までに支払った給与に対する源泉税は7月10日まで、7月~12月までに支払った給与に対する源泉税は1月20日まで、と半年に1回まとめて納税できる特例があります。これを納期の特例と言います。

1枚200円程度しかかからないはずなのに、印紙税の税務調査では数千万円の課税が発生することが多々あります。先日も、兵庫県警察信用組合という金融機関が2700万円の印紙税を大阪国税局から追徴されたというニュースがありました。この報道でも指摘されていますが、印紙税の対象になる契約書に該当するかどうか、弁護士や税理士でも判断に迷います。言い換えれば、弁護士や税理士に聞いても印紙税のリスクは小さくなりません。

相続税や贈与税がかかる財産の評価は、国税庁が交付している財産評価基本通達によって計算することになっています。この財産評価基本通達に基づいて評価して相続税や贈与税の計算をしていれば、原則として税務調査では問題はありませんが、その例外として、財産評価基本通達6項という規定で課税される場合もありますので注意が必要です。この6項は、評価通達で評価した金額が、その財産の時価として著しく不適当と認められる場合に適用されるとされており、この規定が適用されると、評価通達で計算していても問題があるとして、別途国税が時価と思う金額で課税できるとされています。こうなると、多額の税金が課税されることになります。

オーナー企業では、オーナーの持つ自社の株式の株価が大きくなりすぎたため、後継者に贈与や相続で承継してしまうと、恐ろしい税金がかかるため、株式の承継ができないという問題が生じる可能性があります。この問題の解決のため、銀行がよく提案し、かつ実例も最も多い手法が持株会社スキームです。

法人税の有効な節税ツールとして、倒産防止共済掛金という制度があります。倒産防止共済掛金は、取引先の倒産による売掛金などの貸倒リスクに備えてかける保険制度で、最大年240万円(総額で800万円)の掛金の支払いが認められています。
この掛金は、前納も可能であり、掛金の全額が法人税の経費になりますので、会社の利益を見ながら適用できる非常に使い勝手のいい節税手段です。手続きも簡単に行うことができますが、この制度の適用を受ける場合には、法人税の申告書に所定の別表を添付する必要があります。

相続税の計算を行う場合、相続財産を評価する必要があります。この評価は法律上、相続があった時点の時価とするとされていますが、実務上は国税庁が決めている財産評価基本通達という通達に基づいて計算します。
この通達に基づいて計算される金額ですが、その金額はあくまでも相続税の計算における時価であることに注意する必要があります。相続税以外にも、法人税や所得税で時価が問題になることがありますが、この場合の時価を相続税評価額として申告すると、認められない可能性があります。

前回、配偶者控除の話をしましたが、年収103万円という壁があるため、制度を悪用する納税者とそれに協力する会社が多くあり、国税は非常に厳しいチェックをしています。具体的には、配偶者控除の適用を受けたいパート社員Aの要望を会社が受け入れて、本来はAに200万円の給与を支払っているにも関わらず、Aと実在しない社員Bに100万円ずつ給与を支払っている、といた経理をする会社があります。もちろん、このような給与はすべて架空人件費に基づくものですので、Aが受けるべき給与の課税もれとして、源泉所得税が課税されるとともに、重加算税の対象になります。

毎年必ず税制改正要望に上がってくる項目の一つに、配偶者控除の廃止があります。来年度改正では実現が高いと言われていましたが、通年と同様、選挙対策などにより、その改正は延期されています。

しかし、今後改正が確実に実現する項目ですので、現在までの検討案についてまとめてみます。

国税は自己のリスクヘッジを目的に、本来できる課税処分(更正処分)を行わず、敢えて納税者が自発的に反省をしたという修正申告を提出させることで税務調査を決着させることが通例です。もちろん、国税の指導に従う必要はなく、納得できなければ更正処分を国税にお願いし、裁判などで争うことができます。
しかし、こうなると国税は嫌なので、「修正申告に応じれば3年分だけの追徴でいいが、更正処分をするなら5年間徹底的に調査します!」という脅しをかけることが通例です。